『大人の地理』(枻えい出版社 2015)を読む。
内容は中学校の地理の教科書で,「日本の人口と産業」「日本の国土」「日本の領土・領海」「日本の気象と災害」「日本の伝統と文化」の5つの章立てで,きれいなカラー写真とともに紹介されている。
さらっと読み終えたが,北方四島のアイヌ語にちなむ島名の由来など興味深かった。
月別アーカイブ: 2019年7月
「英 イランタンカー拿捕」
本日の東京新聞夕刊を何気に読んでいると,珍しい国の名前が目に飛び込んできた。
ぬあんと,「イギリス領ジブラルタル」とある。記事によるとイベリア半島南端に位置する英領ジブラルタル自治政府が,イランから遠くアフリカ南端の喜望峰を回ってシリアに原油を輸送しようとしたタンカーと拿捕したとのことである。
なぜイベリア半島の南端にイギリス領があるのかというと,世界史受験者におなじみのスペイン継承戦争の講和で結ばれたユトレヒト条約に基づくからである。1713年にスペインからイギリスに割譲されて300年以上経つのだが,あまりに小さく軍事基地の拠点以上の意味合いが無いので,日本ではあまりその存在を認知されていない。面積は6.8平方キロメートルで,東京の狛江市とほぼ同じ大きさである。
話は変わるが,先日イランも加盟する石油輸出国機構(OPEC)の代表と,ロシアのプーチン大統領が共同歩調体制を取るとの報道があった。原油生産量で世界第1位の米国に対して,「敵の敵は味方」戦法である。節操ないと言ってしまえばそれまでだが,近い内にホルムズ海峡付近でなにやら一悶着ありそうである。
地理受験者向けに説明すると,英領ジブラルタルは陸繋島である。つまりは江ノ島や函館,紀伊半島の潮岬と同じく,もともと陸から離れていた島が砂州(トロンボ)によって結ばれて,半島のように海に突き出た形になったのである。
写真を見ると,函館山や江ノ島の”山”を彷彿とさせる。2年生の時の遠足で江ノ島に行った人は分かるでしょう。
ちなみに,陸から鳥のくちばしのように曲がった砂礫を砂嘴といい,そこから「進化」して長く伸びて他の陸地と繋がったのを砂州という。さらに付け加えると,砂州によって外海から隔てられた水深の浅い水域を潟湖(ラグーン)という。潟湖は河川の注入の影響で淡水化傾向にあり,多様な生態系を有することで知られる。
『ヨーロッパ鉄道紀行』
宮脇俊三『ヨーロッパ鉄道紀行』(日本交通公社 1996)を読む。
著者は鉄道紀行作家として知られており,その著者がファンの方々と当時完成して間もないユーロスターに乗ったり,妻との南欧旅行や友人との東欧での鉄道旅行がまとめられている。疲れていたためか,活字は目に入るものの内容はほとんど頭に入ってこなかった。
『観光コースでないマレーシア・シンガポール』
陸培春(ル・ペイチュン)『観光コースでないマレーシア・シンガポール』(高文研 1997)をパラパラと読む。
両国とも戦前日本が植民地化した国である。対英国の抵抗軍を騙しつつ,国を乗っ取っていた過程が現地の人々の語りを通して伝わってくる。
「同性愛迫害 難民認定」
本日の東京新聞朝刊記事より。
小さい記事だが,日本政府が,同性愛への迫害を理由に難民認定を出したとの喜ばしい内容である。
入国管理局改め,出入国在留管理庁のホームページによると,「難民」とは,「難民条約第1条又は議定書第1条の規定により定義される難民を意味し,それは,人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」とある。
同性愛者というだけで死刑や禁固刑などになる国が70カ国もあるという。そうした国に揺さぶりをかける政治的意味でも,遅ればせながら日本が同性愛迫害を難民認定し,日本で普通に生活を営むことができるようになるというのは評価したい。国内労働力の不足という追い風もあるのだろうが,難民認定の拡大についてきちんと法的整備を積み重ねて行くべきである。