荻野洋一『世界遺産を歩こう:一度は訪ねてみたい「歴史とロマン」の厳選スポット』(PHP文庫 2003)をパラパラと眺める。
著者の経歴を見ると、訪れた国と地域は242ヶ所、現在もギネスブックの世界記録に挑戦中とあるが、中身はあちらこちらの文献の寄せ集めであり、全く感興が沸かなかった。本当に著者の平川氏が書いたのであれば、旅の途中の成功談や失敗談が書かれるのであろうが、参考文献丸写しのガイドブックのようなつまらない内容であった。写真がたっぷりと使われていたので、最後までページを繰ったが。。。
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「改正入管法 根拠の正体」
本日の東京新聞朝刊の「こちら特報部」で「改正入管法 根拠の正体」と題したコラムが掲載されていた。
先日、外国人受け入れ拡大のため、採決強行で成立した改正入管難民法で、政府は「人手不足」を根拠として掲げてきた。しかし、7~9月の総務省の労働力調査によると、現在は働いていないが就労を希望する人は323万人。このうち働き盛りの25歳~54歳だけで175万人もいる。政府が「特定技能1号」として当初の5年間で受け入れる外国人の見込み総数の約34万5000人をはるかに上回る。
1990年代初めにバブル経済が崩壊した後、企業は新卒採用を抑制し、いわゆる「就職氷河期」が始まった。この時期に大学や高校を卒業した世代は正規雇用の職に就けず、アルバイトや派遣社員などの非正規雇用になった人も多い。新卒一括採用と終身雇用の慣行が長く続いた日本では中途採用で正社員になるのは難しかった。
一方、企業は長引く不況の中で賃金を抑えるため、非正規雇用を前提に経営を拡大させた。総務省の労働力調査によると、パートや派遣社員など非正規雇用の労働者は、2002年は就業者の29.4%だったが、その後は右肩上がりで増え、2017年には37.3%に上っている。いつ首を切られるか分からない質の悪い雇用の問題点は根深く、2008~09年の年末年始は、リーマン・ショックの余波で職を失った人たちを支援する「年越し派遣村」も運営された。
BNPパリパ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「普通は(業績好転で)人手の確保が必要になれば、企業は賃金を上げ、生産性を高めようと機械化や職場環境の見直しも考える。なのに、今ここで単純労働に割安で雇える外国人を受け入れたら、賃金も生産性も上がらない」と切り捨てる。
記事の中で、「正社員と非正規の格差がある中、もう一段下の低賃金の外国人という三層構造になる。結果的に低賃金が横行する」との指摘があった。こうした分断は経済だけでなく、政治や社会、文化の分断、そして極端な国家主義の萌芽ともなる危険なものである。自分は関係ないと済ますのではなく、自らの拠って立つ社会構造の問題として捉えていきたい。
「『栄光』運営塾管理49歳男性が過労死」
本日の東京新聞夕刊の社会面に、栄光ゼミナールで知られる学習塾大手「栄光」が運営する個別指導塾に勤務していた49歳の男性が死亡し、渋谷労働基準監督署が労災として認定したとの記事が掲載されていた。男性は生徒180人が在籍し、約30人んの大学生アルバイトが指導を担当する世田谷区の教室で運営管理をする「教室長」を務めていた。時間割作成や保護者対応などで連日深夜まで働き、死亡前1か月の残業が実際よりも少ないながら約114時間もあった。
記者会見の中で遺族の妻は「自己責任論を盾に、労働者に全てを委ねるような運営は会社の怠慢だ。早急な対策を願う」と訴えている。
この遺族の妻のコメントは大事な点を指摘している。教室長という立場だから運営の裁量権も本人にかなり任さていたのかもしれないが、「自己責任」という言葉一つで片づけてしまうのは誤りである。なぜ誤りなのかということを自分の言葉で明確に説明できるようにしていきたい。
『世界遺産・大自然とミステリー』
平川陽一『世界遺産・大自然と秘境のミステリー:ガイドブックが書かない「地球の神秘」に迫る』(PHP文庫 2003)を読む。
こちらの方は、自然遺産が中心で、気候や地形などの話が多く興味深かった。
「自由民権運動 研究で交流」
本日の東京新聞夕刊に、明治時代の自由民権運動をそれぞれの地域で研究する個人・団体が「全国自由民権研究顕彰連絡協議会」を結成したとの記事が掲載されていた。
記事によると、板垣退助の出身地の高地、多数の自由民権家が活躍した東京・多摩地区、運動が激化したケースの一つである秩父事件(1884年)の埼玉などから研究者52人が参加し、緩やかに交流と親睦を図るとのこと。
改憲論議が喧しい中で、自由民権運動を振り返ることは有意義なことである。GHQに押しつけられたと改憲を主張する輩こそ、千葉卓三郎の五日市憲法や植木枝盛の東洋大日本国国憲按をはじめとする私擬憲法の先進性を見るべきである。