藤井貞和『古文の読みかた』(岩波ジュニア新書 1984)をパラパラと読み返す。
中高生向けのジュニア新書であるが,古文の面白さや魅力というよりも,文法的な説明が大半を占めており,高校生にとっては気詰まりな内容である。高校古典文法の中では一番難しいといっても過言ではない,接続助詞と格助詞の「が・に・を」の識別であるが,元々全て格助詞であったのが接続助詞に変化したとのこと。とりわけ「に」は,格助詞も接続助詞も断定の助動詞連用形も形容動詞の連用形も格助詞の「にて」もすべて同一の語であり,使われ方が複雑になるとともに分化してきたものである。但し,完了の助動詞の「に」だけは別物であるという。