月別アーカイブ: 2017年12月

『現代社会学科への誘い』

京都文教大学現代社会学科編『現代社会学科への誘い』(文理閣 2010)をパラパラと読む。
京都文教大学人文学部現代社会学科の新入生全員に配布される「共通教材」となっている。経済学、経営学、法学、国際政治学の導入に関する内容で、おそらくは学科に関わる先生方全員が分担して執筆しているのであろう。編集者自ら「内容・形式そして使用方法も自由な『寄せ鍋』風の教材が誕生した」と述べているように、残念ながら一貫性のない単なるレジュメの寄せ集めに過ぎず、あまりに雑駁過ぎて読むのが辛かった。

古利根川サイクリング

子ども達と古利根川を走ってきた。途中道に迷ったせいもあり、15キロ以上の道のりであった。幼稚園年長の3番目にとっては結構な距離であったが、全く疲れを見せていなかった。
ここしばらく雨が降っていないので、古利根川の水面が大きく下がっていた。普段は見られない中島が顔を出していた。

『日本人とユダヤ人』

イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』(角川文庫 1971)をパラパラと読む。
随分と古い本であるが、日本人独特な宗教観や時間感覚、安全や動物、奴隷に対する特別な意識など、日本の政治や社会、文化について、史実や他国の例などを挙げながら丁寧に説明している。

最後はイスラエル建国の正当性やキリスト教の解釈によって歪められたユダヤ教の正しい教えについての項で締めくくられる。作者は日本生まれの日本育ちのユダヤ人で、日本の古典や歴史にも造詣が深く、戦前には米軍による日本の調査にも加わり、戦後何度も日本を訪れているという、ぶっ飛んだ経歴の人物である。

イザヤ・ベンダサンなる人物は一体どういう素性の持ち主なんだとWikipediaで調べたところ、どうやら本物のユダヤ人ではなく、山本七平なる保守派の日本人評論家のペンネームのようだ。

「ネパール中国接近へ」「チベット抗議続く」

本日の東京新聞朝刊国際面は、ネパールの下院選で親中派の「左派連合」が圧勝したとの記事と中国四川省でチベット族の男性僧侶が中国政府に対する抗議の焼身自殺を図ったとの記事が並んで掲載されていた。

どちらもシルクロード経済圏構想「一帯一路」のもと、海外膨張政策を推し進める中国の政治経済の表と裏の顔が表れている。中国と通じているネパール統一共産党のオリ議長は今月中旬、中国国境の町を訪れ、中国とネパールを結ぶ鉄道建設計画を明らかにしている。一方、中国当局は2008年3月に発生した「チベット騒乱」鎮圧以降、チベット族の焼身自殺の増加に対して、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の「祖国分裂活動」の一環と決め付け、自殺煽動の容疑で僧侶を次々と逮捕している。

隣国のブータンやミャンマー(ビルマ)、中央アジアでも中国政府の策動によると思われる軋轢がほぼ毎日報じられている。また、中国はアフガニスタンでもイスラム過激派の進入を警戒して関与を強化している。一方、米国はアフガン安定化に向けた新戦略で、インドとの連携強化を打ち出している。

これまで米中摩擦は、台湾やチベット、東南アジアの動きをチェックしておけば事足りたが、これからは南アジアや中央アジア、西アジアの動向も視野に入れないと追いきれなくなる。残り3ヶ月しかないが、何とか地図だけでも頭の中でぐるぐる動くようにしていきたい。

『高学歴女子の貧困』

大理奈穂子・栗田隆子・大野左紀子・水月昭道『高学歴女子の貧困:女子は学歴で「幸せ」になれるか?』を読む。
お茶の水女子大大学院博士課程や大阪大学大学院博士課程、九州大学大学院博士課程など、錚々たる学歴を持った方々が、それぞれの体験に基づく大学教員の劣悪な境遇や自身の生きにくさについて語る。サブタイトルは「〜なれるか?」と疑問形になっているが、学歴が女性の重しになってしまう大学や社会のあり方に疑問が投じられる。