東浩紀『動物化するポストモダン:オタクから見た日本社会』(講談社現代新書 2001)を読む。
ここ数日、いま子ども達がハマっている「ドラゴンボールヒーローズ」のカードを求めに、トレカショップに連れ立っている。店内では、意外にも10代後半から20代の男性客が「遊☆戯☆王カード」や「デュエルマスターズ」「バトルスピリッツ」など(私にはこれらのカードの違いがよく分からない)のカードなどに見入っていた。私自身も小学生低学年時分には「ウルトラマンカード」や「仮面ライダーカード」を集めていたが、高校生以上の人たちはカードバトルにどのような面白さを見出しているのだろうと手に取ってみた。
『動物化〜』は東氏の代表作でもあり、有名無名なテレビアニメやノベルゲームなどを題材に、オタクや萌え要素、パソコンゲームについて、大塚英志や岡田斗司夫の論を踏まえて現代思想の観点から論じている。「大きな物語」や「物語消費」「スノビズム」「シニシズム」など、評論文キーワード集に出てきそうな概念語を用いて丁寧に説明しているのだが、分かったような分からなような煙に巻かれたような印象の作品である。
分かった範囲でまとめるならば、「ドラゴンボールヒーローズ」のカードバトルは、東浩紀氏の言葉を借りれば、極めて「ポストモダン」的な趣味である。漫画やアニメ、ゲームでヒットした「ドラゴンボール」(鳥山明原作・集英社)のシュミラークルとして、消費者が新たに物語を読み込むようなデータベース型の世界像を遊ぶ仕掛けとなっている。以上。
近所のカードショップ店内の様子。ショーケースに整然とカードが並ぶ。
一枚数千円するカードから、20円のカードまで、その価値の違いは分からない。