『地図の遊び方』 今尾恵介『地図の遊び方』(けやき出版 1994)を読む。 一般財団法人日本地図センター客員研究員や日本地図学会評議員を務める著者の処女作である。 海ばかりの地形図やシベリアの原野の地図を見る驚きや、他国の地名や路線図を眺める喜び、古い地名が消えていく寂しさ、古い旧道の佇まいを探しながら町歩きする面白さが素直な言葉で綴られている。 掲載されている地図が分かりにくく、同好の士以外は受け付けにくい内容であるが、私は作者に同じ匂いを感じ、タイトルにある通り楽しむことができた。
『注文の多い料理店』 宮沢賢治短編小説集『注文の多い料理店』(集英社文庫 1997)を手に取ってみた。 十数編の小説が収められている中で、表題作の『注文の多い料理店』だけをじっくりと読みかえしてみた。 「田舎と東京」、「化け物と西洋科学」といった対立項がはっきりと描き出されていた。