内田康夫『琥珀の道殺人事件』(角川文庫 1989)を読む。
岩手県久慈産出の琥珀が古代奈良まで運ばれていたという言い伝えをモチーフとした旅情ミステリーである。
いつもの通り、名探偵浅見光彦が現地の市役所の商工課や警察署に赴いて、観光情報や事件の情報を手に入れる場面から事件捜査が始まる。ふと、現在はホームページでの調査が当たり前になったが、ほんの20数年前までは、実際に現地に行って歩き回ったり話し込んだりして情報を得ていたのだなあと考え込んでしまった。
月別アーカイブ: 2016年2月
『高く手を振る日』
黒井千次『高く手を振る日』(新潮社 2010)を読む。
学生時代に一度だけキスをしたことのある男女が、70代になリ人生の最終局面を迎える中で、ふとしたキッカケで再び出会い、恋愛模様へと発展していく。「老いらくの恋」と言ってしまえば身も蓋もないが、自分の人生の「終着」と過去の若かりし頃への「執着」というの2つのテーマが並行して進んでいき、久々に読み応えのある作品であった。
主人公の年齢に合わせるように、ゆっくりと話が展開していく。細かいところはすっ飛ばして読む若い読者に対して、「そんなに焦って読むなよ」という作者の言葉が聞こえてきそうだ。
『「紅藍の女」殺人事件』
内田康夫『「紅藍の女」殺人事件』(講談社文庫 2000)を読む。
旅情ミステリーとして引っ張りながら、最後はどたばたと辻褄を合わせたように事件が解決していく。
山形の風景を頭に思い浮かべながら読むことができ、ひとときの「忙中の閑」を味わった。
つぶせ!共謀罪 ―治安体制の強化に反対しよう―
以下、メーリングリストより転載
2・20 救援連絡センター主催・共謀罪反対集会 つぶせ!共謀罪 ―治安体制の強化に反対しよう― パリ連続爆破事件を受けた 共謀罪制定策動を粉砕しよう! 思想・信条は自由だ!
2月20日(土) 18時~20時 (17時40分 開場)
会場:千駄ヶ谷区民会館1階
会場費:500円
講演と質疑
<テーマ>
『パリ連続爆破事件と共謀罪』 救援連絡センター代表 足立昌勝
『パリ連続爆破事件の本質』 映画監督 足立正生
『共謀罪をめぐる闘いの経緯』 弁護士 山下幸夫
1年前の2016年1月、パリの新聞社を襲った事件以来、ヨーロッパや中東などでISなどが声明を出している爆破事件が連続している。フランスは非常事態宣言を出し国内に戒厳令を敷く一方、攻撃型空母ドゴールを派兵し、米ソや欧州・中東諸国によるシリア・イラクなどのIS支配地域への爆撃と一体となった「対テロ戦争」を遂行している。まさに、今のいまも殺戮を繰り返しているのだ。だがパリ爆破・銃撃事件とはなんだったのか。
11月15日のパリ爆破・銃撃事件に震撼した日本も、政府や自民党首脳などが「テロ対策のために共謀罪を」と直反応した。共謀罪は去年の国会で継続審議となっている刑事訴訟法一部改悪(盗聴の全面拡大、密告奨励の司法取引の導入など)とともに、思想や信条を守る行動、戦闘的労働運動、戦争・安保反対闘争などの反政府闘争などを取り締まって独裁政権を作るためのもの。言論を封殺し行動を抑圧する治安攻撃そのものだ。「集団的自衛権」を合憲と強弁し、安保法制制定を強行した安倍政権の跳梁と、「アベアベ詐欺」とも言える「白を黒と言いくるめる政治手法」の流れに、なんとしても楔(くさび)を打ち込まなければならない。
5月に行なわれる「伊勢・志摩サミット」や2020年の「東京オリンピック」を射程に、日本でも政府・メディアの「反テロ」キャンペーンの洪水で社会全体の自由な空気が凍り付いているかのように見える。こんな社会状況は一体何なんだ。自由な論議を始めよう。
『突撃!貧乏ライター戦記』
岸川真『突撃!貧乏ライター戦記:ルポ・メルトダウンから尖閣、生活保護まで』(宝島社新書 2013)を少しだけ読む。
タイトルからすると面白そうな内容だったのだが、読んでも内容がすんなりと頭に入ってこなかった。周辺状況や前後の説明をすっ飛ばして、いきなり本題や会話のやり取りになリ、分かりにくい文章であった。