月別アーカイブ: 2013年5月

『アメリカン・ギャングスター』

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地上波で放映された、デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ主演、リドリー・スコット監督『アメリカン・ギャングスター』(2007 米)を観た。
事実に基づく話だということだが、ベトナム戦争の高揚の裏側で進行していったアメリカ社会の腐敗の実態がよく表されていた。

『ヒミズ』

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レンタルしてきたDVDで、染谷将太・二階堂ふみ主演、園子温監督『ヒミズ』(2011 ギャガ)を観た。
20年前の日活ロマンポルノを観ているような、味のある映画であった。両親から手酷い虐待を受けている中学生の男の子と女の子が、父親殺しや高利貸しとの殴り合いから自暴自棄になり自殺まで考えるほど自らを追い込んでいくが、そこから一転再生し、力強く生きていこうとする姿を描く。時折、震災直後の映像が挿入され、震災や原発事故で苦しむ被災者の悲しみや怒り、嘆き、そして、被災者に対する励ましを表現しているとも言える。
支離滅裂な内容であるが、主演の二人の素晴らしい演技というか、人間的表現力によって、作品が力強いものになっている。

『新聞をどう読むか』

現代新書編集部『新聞をどう読むか』(1986 講談社現代新書)を読む。
おそらくは高校時代あたりに、小論文を書くための新聞の切り抜きをやっていた頃に買ったものであろう。20年前の古本屋のラベルが貼ってあった。
新聞についての簡単な解説を交えて、当時活躍されていた文化人32人がタイトル通り、新聞をどう読み、どう活用しているか自由に語るという内容である。
中沢新一氏や外山滋比彦氏、澤地久枝さん、今村仁司氏、佐野真一氏、西部邁氏など、現在でも活躍されている方々の仕事の秘密というか裏側を見ているような気がして面白かった。
また、社会事件から政治、経済、文化まできちんとした情報収集、編集、校閲を経て世に出てくる新聞記事を読み、活用することの大切さを実感した。

パンフレット研究:和光大学

和光大学は1934年成城学園を母胎とする和光小学校の開校に始まる。1947年に和光中学校・高等学校が開校し、1966年に人間関係学科・文学科・芸術学科からなる人文学部と経済学部経済学科の2学部4学科の大学がスタートしている。その後、改組が続き、現在では心理教育学科・現代社会学科・身体環境共生学科からなる現代人間学部と、総合文化学科と芸術学科からなる表現学部、経済学科・経営学科からなる経済学部の3学部7学科で構成されている。

東京都町田市の小田急線鶴川駅から徒歩15分という辺鄙なキャンパスで4年間全学生が学ぶ。キャンパスの場所柄か、AO入試やセンター利用入試などあるが、どの学部学科も1倍台と苦戦を強いられている。1年間の授業料と施設費の計100万円近くが全額免除となる特待生選抜が行われている。試験の合計得点が8割を越えた者全員を選抜するとあるが、学科によっては11名受けて全員不合格となるなど、ハードルは高い。

首都圏の偏差値ランクでは下位に甘んじているが、都道府県別の志願者・合格者数を見ると、日本全国から学生が集まっている。特に、クラーク記念国際やあずさ第一などの通信制高校や、自由の森学園や北星学園余市など自由な校風の学校の出身者が多いのが特徴である。

私が学生であった1990年代半ばでも、首都圏の大学とは異なり和光大学だけは、新左翼党派が絡んだ学生の自治活動が大学当局によって保証されていた。

パンフレット冒頭の学長挨拶の言葉がよく大学の性格を表している。引用してみたい。

大学とは、自由な研究と学習の共同体である。
梅根悟・初代学長は、そんな理念を掲げ、和光大学を「小さな実験大学」と呼びました。
その思いは、今も和光大学のすべてに息づいています。
教職員と学生との距離が近いと言われます。
学生の自主性や対話を大切にし、積極性を伸ばす、個性的な大学であるとも言われています。
そして、みなさんが自分を磨くことについて、心の広い大学だと思っています。
人という点が動くことによって、人間関係という線のつながりになり、
さらに面になり、より広い「人間広場」ができます。
こうした人間広場がさまざまに組み合わさって、和光大学という学びの空間になっています。
夢や理想を語り合える、情熱をぶつけ合いながら学問を楽しむことのできる、
かけがえのない自由な場ーそれが、和光大学です。

パンフレット研究:昭和大学

1928年に設立された昭和医学専門学校を始まりとし、1946年昭和医科大学となり、1964年薬学部設置、1965年富士吉田校舎開設、1977年歯学部設置、そして、2002年保険医療学部が設置されている。現在では医学部、歯学部、薬学部に加え、看護学科・理学療法学科・作業療法学科の3学科からなる保健医療学部の4学部体制となっている。戦前からの伝統ある私大医学部の旧設八医科大学の一つである。
得てして糊塗しがちな入試や就職データであるが、昭和大学のパンフレットはここ数年の志願者数や合格者数、また、学費や近年の国家試験合格率も、グラフや表で分かりやすく掲載されており、大変好感持てる内容である。
昭和大学の第一の特徴は、1年時に全学部の学生が富士吉田キャンパスで全寮生活を送り、4人一部屋で寝食ともにする間柄で「チーム医療」を学ぶ制度である。費用は寮費・食費・寝具類費含めて727,000円となっており、比較的リーズナブルな料金で寮生活を送ることができる。18歳、19歳の若者が中心なので、様々な衝突はあるだろうが、医療人としてのタフなコミュニケーション能力育成の場としてはすばらしい環境である。
また付属病院が東京神奈川を中心に8つもあり、臨床医しての研修の場も充実している。付属病院の売り上げもあるのであろうか、2014年度入学生より大幅な学費改定があり、6年間の学費が450万円値下げされ、2200万となっている。さらに高得点者や地域医療選抜合格者はさらに300万円下がり、1900万円となる。これは慶応大学や順天堂大学よりも安い。歯学部は医学部よりも高くて2450万円、薬学部は1150万円となっている。一方で看護学部は充実した環境の反面少し高めであり、640万円となっている。
作業療法学科の卒業生の93.6%が医療機関に就職しているというのも驚きである。
また部活動や学園祭も充実しており、親としては子ども(優秀ならば)を通わせたい思ってしまう大学である。
CMで大学名が連呼されるので、「松本歯科大学」と同様によほど人が集まらない大学なのかと思っていたが、内容が充実している上に学費も大幅に値下げされ、諸手を上げて賞賛したい大学であった。