月別アーカイブ: 2013年4月

「論壇のいま、Lifeのこれから」

TBSラジオで月1回放送されている、文化系トークラジオLifeの3月のテーマ「論壇のいま、Lifeのこれから」をPodcastで聴いた。
番組自体の存続に始まり、論壇となる場の意義や、歴史的な変遷、論客のありようにまで話が広がっていった。また、「そもそも」深夜に集まって社会について語ること自体に意味があるのかどうかという議題も出された。「そもそも」という形で根本から意味を探ろうとする哲学的な展開を含め、いかにも「Lifeっぽい」内容であった。

同世代の人たちがこのような形で「部室トーク」を繰り広げるというのは面白い。是非4月より隔月放送になるが、新しい形で継続していってほしい。

「就活4月以降」容認

本日の東京新聞朝刊に、経済同友会だけでなく、経団連も大学生の就職活動の開始時期を4年生の4月以降とする政府の意向にに賛同するという記事が掲載されていた。
特に文系の学生にとって就職活動は死活問題である。就職に失敗して自殺を選ぶ学生もいるという報道もあった。

『少林サッカー』

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ネットをやりながら、片目で地上波で放映された、周星馳(チャウ・シンチー)制作・監督・脚本・主演『少林サッカー』(2002 香港)を観た。
人生を踏み外したようなおっさんたちが少林拳を学び、空を飛んだりゴールをひん曲げたりしながらサッカーの試合で勝ち上がっていく漫画のような話である。ワイヤーアクションやCGを駆使され、漫画『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』の戦闘シーンのようなハチャメチャな映像が連続する。
オープニングからエンディングまで一貫してどたばた劇なのだが、「スポ根挫折友情成長物語」の定石通りに仕上がっており、爽快感を感じる映画であった。

『長男の出家』

第98回芥川賞受賞作、三浦清宏『長男の出家』(福武書店 1988)を読む。
受賞作の表題作の他、1975年発表の『トンボ眼鏡』と、1966年発表の『黒い海水着』の2編が収録されている。しかし、『長男〜』以外の作品は、作者の経験を元にした私小説風の夫婦の物語であって興味をひくものではなく、途中で読むのをやめてしまった。

表題作の『長男の出家』であるが、ある平凡な家庭の長男が近所の禅寺に出家してしまうという一風変わった設定の小説である。俗世間との絆しを断って修行生活に明け暮れる息子と、本人の希望を尊重しようとする父と、親子の絆の切断を覚悟した母と、家族の絆を求めようとする妹の四者四様の心のすれ違いが上手く描かれていた。息子に自分の過去を投影し、つまらない理詰めで物事を納得しようとする父と、将来まで見越して感情で割り切ろうとする母との対照的な姿に、男親と女親の普遍的な姿が垣間見えてきた。

『ヒッチコック』

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=LnzKSHmAj8w[/youtube]

子どもをお風呂にいれてから、イオン春日部に出かけ、9時過ぎのレイトショーで、サーシャ・ガヴァシ監督・アンソニー・ホプキンス主演『ヒッチコック』(2013 米)を観た。
ヒッチコック監督の最高の代表作となった『サイコ』の撮影の舞台裏の話である。映画に心血を注ぐヒッチコックの熱意や映画人たちの思い入れがよく伝わってきた。

しかし、物語の主要テーマである『サイコ』という映画を観たことがなかったので、演技指導の場面やカット割りなど、もう一つの物語とリンクする部分を楽しむことができなかったのは残念である。