第122回芥川賞受賞作、藤野千夜『夏の約束』(講談社 2000)を読む。
ある一組のゲイのカップルを中心とした日常の人間模様を描く。だが、読み進めながら、一体この作品のどこに文学新人賞に値する文学性があり、審査員はどういった論評をしているのであろうかという疑念が沸いてきた。ただ夏のキャンプの約束をするという展開で、そこには人間としての悩みもなければ差別や葛藤もない。ただ淡々と日常の一断面が描かれるだけである。
逆説的に、都会で生活する20代の若者のやるせなさをテーマとしているのであろうか。
『夏の約束』
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