筒井康隆『ヘル』(文藝春秋 2003)を読む。
先日読んだ『ポトスライムの舟』があまりに日常感覚べったりの小説だったので、少し毛色の違うものということで手に取ってみた。「ヘル」と呼ばれる、死後の世界と夢の世界が渾然一体となった時間と空間を超越した世界の中で物語は展開していく。
死の直前のパニックに陥った心理描写など、筒井氏の奇才が遺憾なく発揮されている作品であった。
「荒唐無稽」という四文字熟語一言では収まりきらないほど、筒井氏の才能の爆発ぶりが目立つ作品である。
『ヘル』
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