月別アーカイブ: 2011年1月

「子どもの貧困」

本日の東京新聞朝刊の「子どもの貧困」は、児童養護施設で暮らす小学校2年生の男子児童が、たまの外泊で父親と「ニンテンドーDS」で楽しんでいる という内容である。子どもを取り巻く「貧困」は、かつてとは様相を異にしており、DSやiPod(アイポッド)などの最先端の電子機器は”必需品”。継ぎ はぎだらけの服のかわいそうな子どもたちは、過去の話で、施設の中堅職員は「公園で遊んでいても、誰も貧しいとは気付かない」と語る。
見た目が普通であれば、貧困に気付かないというのは、功罪両方あると感じる。日本は安くて高品質な服が広く流通しており、それなりの格好をしておれば貧困が分かりにくいというのは良いことでもある。しかし、身なりや持ち物だけで判断してしまうのは危険である。
私たち日本人は、昔のアニメやドラマのような分かりやすい貧しさに慣れ親しんでいるためか、どうしても普通の身なりをしていると「中流」だと決め込んでしまう節がある。そうした内なる常識を打破していくことが求められる。
以下、記事の引用である。しかし、何が言いたいのか一読した限りでは良く分からない。

国立社会保障・人口問題研究所部長の阿部彩氏は著書「子どもの貧困」で、日本人の「貧相な貧困観」を指摘する。子どもにとって の必需品を調査した先進国間のデータの比較では、英国では84%がおもちゃを必需品と回答したのに対して日本では12.4%、自転車は英国で55%、日本 が20.9%など、いずれの項目でも大きな差があった。
阿部氏は日本人の心理の根底にある「総中流」や「貧しくても幸せな家庭」といった「神話」が、子どもの貧困問題に対する日本人の鈍感さにつながっているとみる。

『暗証番号はなぜ4桁なのか?』

岡嶋裕史『暗証番号はなぜ4桁なのか?:セキュリティを本質から理解する』(光文社新書 2005)を読む。
興味を掻き立てるようなタイトルであるが、中身は情報セキュリティの入門編のような内容で、セキュリティの必要性やコストパフォーマンス、法律について教科書的な立場に立って分かりやすく述べられる。読みやすい文章で、良くも悪くも引っかかるところがなく、ざっと読み流した。

貧困を考える

今日の東京新聞朝刊の連載記事「子ども貧困」は、母子家庭の母親が手作りの弁当を作るという内容であった。失業した夫の暴力に堪えきれずに「母子生活支援施設」に入所した母親が、生まれて初めてお弁当を作ったところ、子どもが目を輝かせて幼稚園に出かけたということだ。
園児にとって手作りのお弁当というのは、味以上に親の愛情を身近に感じるものだ。そうした手作りのお弁当を作る時間と環境は「健康で文化的な最低限度の生活保障」に該当するであろう。
以下、新聞記事からの引用である。

働いても働いてもぎりぎりの生活を強いられているのが、123万世帯(2003年調査)いる母子家庭だ。厚生労働省によると、 07年の時点で、母子家庭・父子家庭の半数以上は貧困状態にある。現在の生活について「苦しい」と答えた母子家庭は約9割だった。07年国民生活基礎調査 では、全世帯の平均所得は566万円なのに対し、母子家庭は236万円。全国の母子生活支援施設に入所する母親の8割が非正規雇用で、その半数の毎月の就 労収入は10万円未満とのデータもある。

また、同じ日の朝刊に、看護師宮子あずささんの「深夜労働を問う年に」と題したコラムが目を引いた。宮子さんは、日本の看護師の多くが深夜労働を強いられる現状を紹介した上で次のように述べる。

大事なのは、有害業務である夜勤を減らし、休日休める人を増やすことだ。そのためには、私たちひとりひとりが、ある程度の不便を受け入れねばならないだろう。
まずはコンビニをはじめとする小売店の営業時間は、あんなに長い必要があるだろうか? 正月や夜中くらい、休んではどうだろう。生産が追いつかないくらい売れる商品とて、これからはそうそう出るまい。ならば工場のラインも、夜は休ませればよいのである。
「夜中働くのは、よほどのこと」。この認識が根付けば、やむなく夜勤に就く人の待遇も改善するだろう。自分が休みたい時は、誰もが休みたいはず-。その想像力があれば、多少の不便は辛抱できないものか。便利に慣れた自分自身にも、あらためて問いかける年にしたい。

『貧困肥満』

三浦展『貧困肥満:下流ほど太る新階級社会』(扶桑社新書 2009)を読む。
年収二百数十万円程度でフリーターや派遣労働を続ける若者の食生活を追ったルポである。この「下流」とは、筆者の言葉を借りれば、「単にお金のない人では なく、生活への意欲がない人」のことである。多少の小金がありながら、マクドナルドやファミレスなどの「ファストフード」で食欲を満たしてしまい、自分で 食材を選び、料理する習慣も関心もない人たちをさす。
読みながら、油や塩分、添加物まみれの食事を好んでいる自分自身の姿が頭をちらついて仕方なかった。このままでは私も生活習慣病まっしぐらである。少し食生活を改めたい。

[下流は太る]チェックポイントとして次の項目が示されている。
・年収(万円)が年齢の10倍未満だ
・未婚だ
・自炊せず、外食が中心だ
・食事の時間、回数が不規則だ
・移動は車やバイクが多い
・面倒くさがり、出不精だ
・食事はひとりで摂ることが多い
・片手で食べられるものを好む
・生ものを食べていない
・セックスパートナーがいない

また、筆者は次のように述べる。

自分で料理するということは、素材を選び、道具を使うということです。それは再び大げさに言えば、奪われた生産手段を取り返すこ とです。ファストフードや冷凍食品などは、一見便利だが、素材と道具を人任せにするということであり、本来自分が持つべき素材と道具を奪われているという ことです。つまり便利さに負けて素材と道具を奪われた人間は、実は搾取されているのです。そして、意欲がなくても腹一杯食えて太れるファスト風土的下流社 会にどっぷりつかった人間は、搾取されているという実感を持たぬまま、便利、お手軽という魔法にかけられて、ついつい便利で安直な生活を選択してしまうの です。
しかしそのように、目の前に流れてくる餌を食べているだけでは、人間が家畜になったのと同じでしょう。そういう社会は、人間ブロイラー工場であり、人間養豚場です。

反貧困ネットワーク埼玉

昨年の12月20日に地上波で放映された「NNNドキュメント’10」を観た。
さいたま市で貧困事件を主に担当する竪十萌子さんという弁護士の密着取材である。竪さんは弁護士3年目で、笑顔がとっても素敵な女性である。しかし、仕事になると、ヤミ金業者やDV加害者といった強面に対して果敢に突っ込んでいく。また、「反貧困ネットワーク埼玉」のメンバーとして野宿者の支援の夜回りも続けている。

今年は昨年以上に忙しくなりそうな年であるが、自分の立場で「貧困」について何かできることはないだろうか、時間に余裕のあるこの数日、少し自問してみたい。