貧困を考える

今日の東京新聞朝刊の連載記事「子ども貧困」は、母子家庭の母親が手作りの弁当を作るという内容であった。失業した夫の暴力に堪えきれずに「母子生活支援施設」に入所した母親が、生まれて初めてお弁当を作ったところ、子どもが目を輝かせて幼稚園に出かけたということだ。
園児にとって手作りのお弁当というのは、味以上に親の愛情を身近に感じるものだ。そうした手作りのお弁当を作る時間と環境は「健康で文化的な最低限度の生活保障」に該当するであろう。
以下、新聞記事からの引用である。

働いても働いてもぎりぎりの生活を強いられているのが、123万世帯(2003年調査)いる母子家庭だ。厚生労働省によると、 07年の時点で、母子家庭・父子家庭の半数以上は貧困状態にある。現在の生活について「苦しい」と答えた母子家庭は約9割だった。07年国民生活基礎調査 では、全世帯の平均所得は566万円なのに対し、母子家庭は236万円。全国の母子生活支援施設に入所する母親の8割が非正規雇用で、その半数の毎月の就 労収入は10万円未満とのデータもある。

また、同じ日の朝刊に、看護師宮子あずささんの「深夜労働を問う年に」と題したコラムが目を引いた。宮子さんは、日本の看護師の多くが深夜労働を強いられる現状を紹介した上で次のように述べる。

大事なのは、有害業務である夜勤を減らし、休日休める人を増やすことだ。そのためには、私たちひとりひとりが、ある程度の不便を受け入れねばならないだろう。
まずはコンビニをはじめとする小売店の営業時間は、あんなに長い必要があるだろうか? 正月や夜中くらい、休んではどうだろう。生産が追いつかないくらい売れる商品とて、これからはそうそう出るまい。ならば工場のラインも、夜は休ませればよいのである。
「夜中働くのは、よほどのこと」。この認識が根付けば、やむなく夜勤に就く人の待遇も改善するだろう。自分が休みたい時は、誰もが休みたいはず-。その想像力があれば、多少の不便は辛抱できないものか。便利に慣れた自分自身にも、あらためて問いかける年にしたい。

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