サタミシュウ『私の奴隷になりなさい』(角川文庫 2005)を読む。
作家名の「サタミシュウ」という人は、別名で数多くの小説を発表している覆面作家である。
冒頭から「勃起」やら「自慰」などの単語がならび、角川文庫というよりはフランス書院文庫のようなどぎついSM小説であった。
しかし、自分自身の判断や思考を停止し、自分の秘すべき羞恥心や性癖を露呈し、心身ともに他者に隷属する生活を送ることで、逆に人間らしい活力を得るのだという下りが物語の終章で語られる。読んでいる途中は単なるエロ小説であるが、読み終わった後は新書を読んだような感覚が残る不思議な作品である。
『私の奴隷になりなさい』
コメントを残す