石原千秋『大学受験のための小説講義』(ちくま新書 2002)を半分読む。
大学受験をこれまでの受験技術ではなく、文学解釈の立場に立って解こうとする意欲作である。指示語や接続詞といった現代文解釈のヒントはほとんど無視し、物語の「枠組み」(物語の構造)から、その登場人物に与えられる役割を分析して、問題を次々と解いていく。またセンター試験の小説は文科省の監督があるためか、一定にルールにもとに作品が選ばれ、問題が構成されていると述べる。
今まで苦手意識を持っていたセンター小説の骨格が分かった気がして大変興味深かった。後半は国公立二次の問題となっているので、時間がある時に解いてみたい。
センター試験の小説の5つの法則
- 「気持ち」を問う設問には隠されたルール(学校空間では道徳的に正しいことが「正解」となる)が働きがちだ。
- そのような受験小説は「道徳的」で「健全な物語」を踏まえているから、それに対して否定的な表現が書き込まれた選択肢はダミーである可能性が高い。
- その結果「正解」は曖昧模糊とした記述からなる選択肢であることが多い。
- 「気持ち」を問う設問は傍線部前後の状況についての情報処理であることが多い。
- 「正解」は似ている選択肢のどちらかであることが多い。ただしこの法則は、中学や高校の入試国語ではほぼそのまま使えるが、大学受験国語では裏をかかれることがある。
物語文による読みを基本としながら、これら5つの法則と消去法を組み合わせて解くのが、センター小説の鉄則である。