千葉県流山市に位置する1990年開学の新しい学校で、名前の割には学生は2000名もいる中規模の大学である。前回の成蹊大学と同じで、付属の江戸川学園取手高校の方が東大進学だの、医学部進学だの喧しい。それに比べ大学は随分のんびりとした雰囲気が漂う。人間心理学科、ライフデザイン学科、経営社会学科の3学科を擁する社会学部と、マス・コミュニケーション学科と情報文化学科の2学科を擁するメディアコミュニケーション学部の2学部からなる。それぞれの学科はさらに3〜6つのコースに分かれ、それぞれの学科ごとに分かりやすいパンフレットが用意される。また、学生全員にノートパソコンが貸与されるなど、大学での学びの仕掛けが大変丁寧である。
月別アーカイブ: 2008年10月
パンフレット研究:成蹊大学
大正自由教育運動の担い手の一人であった中村春二氏の設立した成蹊小学校を元に、戦後になって設立された大学である。得てして中学校や高等学校が母体となって作られた大学というものは、麻布や武蔵の例に漏れず、内部進学者の意識が低く、大学運営も苦戦を強いられる傾向にある。しかし、その中でも成蹊大学は成功している特異な大学であろう。少人数教育が徹底しており、法学部、経済学部、文学部、理工学部、法科大学院の4学部、5研究科を擁しながらも、一学年の定員が1500人ほどで、一年次から手厚くゼミが開講されている。フジテレビのアナウンサー高島彩さんの出身校でもあり、都会的なイメージとアットホームな学風がうまく一致している。ラクロスの爽やかなイメージが浮かんでくる。
清楚な女子大生の写真を見ていると、私も成蹊大学で学ぶことができたら、学生生活も華があり、卒業後の人生ももう少し違った人生になっていたのではないかと、ふと考えてしまう。
また「学生金庫」なるものがあり、学生の緊急な出費に対して、最大10、000円を無利子で貸し出す制度もあるとのこと。成蹊大学を象徴するような制度である。
話はずれるが、本日埼玉県立杉戸高校で行われた「授業フェア」に参加した。やり手で評判の杉戸高校校長の授業を拝聴したのだが、教壇から「私もこれから大学に入りたい。女子大生と合コンがしてみたい」と生徒に語り掛ける場面が印象的であった。「大学に入りたい」「合コンがしてみたい」というのは学問に対する真摯な気持ち、そして人間に対するつきない興味の表れである。
私もそうしたフレッシュな気持ちを常に持ち続け、そして実行してみたいと改めて感じることができた。
東京新聞08年10月05日の朝刊から転載
『サブプライム』の荒波無情 ホームレス支援『もやい』SOS
写真:夕暮れになっても「もやい」の生活相談が続く=東京都新宿区で
ホームレスやネットカフェ難民などの生活困窮者を支援している特定非営利活動法人(NPO法人)「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都新宿区)の活動が、後援企業の破産で窮地に立たされている。もやいは、生活困窮者がアパートに入居する際に連帯保証人となり、後援企業が家賃保証や寄付をしていた。湯浅誠事務局長は「住居の確保は人間らしく生きるための最低限の基盤なので、活動を続けたい」とカンパなどの支援を募っている。(菊谷隆文)
破産したのは不動産会社「リプラス」(東京)。もやいのアパート入居支援活動に賛同し、二〇〇六年四月から、一人六カ月分の家賃保証と、もやいに毎年約千三百万円を寄付してきた。
しかし、リプラスは米サブプライムローン不況などの影響で経営が悪化。九月二十四日、破産手続きを東京地裁に申し立てた。もやいは年間予算の約40%を失う。残る収入は、一般の人や企業からの寄付と、会費、連帯保証人申込者の保証料(一人二年間八千円)だけになる。
もやいに連帯保証人になってもらい、アパートに入居できたのは首都圏を中心に約千三百五十世帯に上る。
ネットカフェや個室ビデオ店などで寝泊まりしている人の場合、日雇い労働などで収入があっても、保証人がいなかったり、まとまった蓄えがないために敷金・礼金などが払えず、アパートを借りられないというケースが多い。現在も毎月約百件の生活相談がある。
湯浅さんは「支援企業を探しているが、当面の危機を乗り切るため、緊急のカンパをお願いしたい」と話す。カンパは一口五万円。振込先は、ゆうちょ銀行振替口座00160−7−37247。口座名は「自立生活サポートセンター・もやい」。
『腐女子彼女。』
ぺんたぶ『腐女子彼女。』(エンターブレイン 2006)を読む。
一時期流行った『鬼嫁日記』のようにインターネットで人気を博したブログの書籍化である。本書を読む限り、最初から書籍化を狙っていたかと思わせるような内容で、恋愛小説としてうまくまとまり過ぎている気もする。
タイトルの「腐女子」とは、男性同士の恋愛を扱った小説や漫画を好む趣味を持った女性を総称する言葉で、最近使われ出している。
『河童・或阿呆の一生』
芥川龍之介短編集『河童・或阿呆の一生』(新潮文庫 1968)を読む。
芥川の自殺以後発表された『或阿呆の一生』『歯車』を含む、著者の最晩年の作品が集められている。どの作品も自殺や狂気などがモチーフとなっている暗い作品ばかりであった。正直読んでいて面白いとは感じなかった。しかし、ちょうど私と同じ年齢の時の作品であり、その意味では心の底に溜まっていくような感慨があった。
『河童』は、昭和2年(1927)「改造」に発表され、河童の国を見たと信じる精神病患者の妄想に託し、社会を辛辣に戯画した短編小説である。(近現代文学事典)