マチュー・アマルニック主演『潜水服は蝶の夢を見る』(2007 仏=米)を観に行った。
ロックトインシンドローム(閉じ込め症候群)という、意識は元のままなのに左目のまばたき以外の随意運動の一切が奪われてしまう難病に突然罹ってしまう、ファッション誌ELLEの元編集長ジャン=ドーの入院生活を追った実話である。
主人公のジャン=ドミニク・ボビーは左目のまばたきだけで援助者とコミュニケーションを取り、自らの苦悩を描いた自伝「潜水服は蝶の夢を見る」を執筆する。本の中で、彼は自身を自らの肉体に閉じ込められた潜水服になぞらえ、かつては、そしていつかは蝶のように自由に恋愛を楽しみ歩き回った過去の記憶や空想の中を遊び回る。しかし、本が出版されてから10日後に、彼はこの世での仕事を終えてしまう。
日本だとこの手の作品は苦境にめげず頑張る障ガイ者を描いたヒューマンドラマに終始してしまうであろう。「障ガイ」をモチーフとしつつも、一流の恋愛ドラマに仕上がっているところが恋愛王国フランスの躍如であろう。
『潜水服は蝶の夢を見る』
コメントを残す