日別アーカイブ: 2007年6月30日

『一月物語』

平野啓一郎『一月物語』(新潮文庫 1999)を読む。
前作の芥川賞受賞作である『日蝕』同様、漢字検定準1級レベルの熟語が満載で、大正期の文学の風体を装った古典的な作品に仕上がっている。
荘子の夢蝶をモチーフとし、現実と夢の狭間で展開される恋物語であるが、神話的要素やサスペンスな風合いもあり、ぐんぐん大団円に向かって読者を引きつける勢いが文章にある。作者平野氏が弱冠24歳の時の作品である。まさに脱帽である。