福祉サービスにおける第三者評価システムの導入が大きな流れになっているが、その意義と内容について論じなさい。(700字以上800字以内)
現在の福祉政策は、地方分権、民間活力の活用、「自己責任」という流れに沿って改革が進められている。2000年に始まった介護保険制度により、介護を社会全体で支えるという大きな改革がなされ、地方公共団体と民間企業が一体となって医療・保健・福祉サービスを総合的に提供する土台が出来上がった。1998年にNPO法が成立し、障害者の共同作業所やグループホームも社会的な存在として認められ、よりきめ細かい自立支援サービスも展開されるようになった。利用者の側もサービスや施設を自由な選択に選択することができるようになった反面、社会福祉協議会への苦情や福祉サービス業者とのトラブルも相次いでいる。今後シルバービジネス産業への多くの企業の進出が見込まれている中で、福祉サービスの社会的信用を保証していく評価システムが「第三者評価事業」である。
2001年に厚生労働省から出された「福祉サービスにおける第三者評価事業に関する報告書」の中で、「個々の事業者が事業運営における具体的な問題点を把握し、サービスの質の向上に結びつけるとともに、利用者の適切なサービス選択に資するための情報となる」ために、「公正・中立な第三者機関が、専門的かつ客観的な立場から評価する」ことが謳われている。その「第三者評価機関」は社会福祉事業の従事者、福祉・医療・法律・経営等の学識経験者、そして福祉サービスの当の利用者である一般市民からなる認定法人団体である。その評価の対象は施設の基準や経営状況にとどまらず、全ての入所・通所施設および在宅サービスを含む福祉活動全般である。
今後、一層高齢社会が進展し、また障害者と健常者との豊かな共生が希求されている現在、この第三者評価システムを有効に機能させ、地域や教育、家庭と密接に結びついた社会福祉の基盤形成を目指さねばならない。