紀田順一郎『インターネット書斎術』(ちくま新書 2002)を読む。
パソコン使用に適した書斎のあり方や、パソコンの選び方から始まり、ホームページの主宰の心構えなど、パソコンやインターネットと言語にまつわる思いを書き連ねる。ホームページの管理のおいては特に、文字ばっかりの独りよがりのページにならないようにとの警告には耳が痛い思いだ。
ネット上における日本語であるが、「霞が関」と「霞ヶ関」、「斉藤」と「斎藤」の例のように、日本語は表記や送り仮名などおおらかな面があり、現在のインターネットの検索の上で大きな障害となっていると筆者は指摘している。確かにGoogleで検索すると「霞ヶ関」は182.000件、「霞が関」は230.000件、さらに「霞ケ関」でも12.000件がヒットする。行政は1967年に「霞が関」に統一されたが、地名や駅名は「霞ヶ関」のままであり、さらに1991年の旧総理府監修の政府刊行物でも「霞ヶ関」が採用されたため、混乱に拍車を掛けている。漢字、平仮名、カタカナが混在した日本語の特性は生かしつつ、検索に堪えうる日本語の表記の統一が望まれる。
月別アーカイブ: 2004年11月
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吉見百穴
『辞めるな、サラリーマン』
ヨミウリ・ウィークリー『辞めるな、サラリーマン』(中公新書ラクレ 2002)を読む。
「転職でキャリアップ」や「外資系で自己実現」など「転職ブーム」が続くが、本書はそうした転職が必ずしも成功せず、失敗している者が多い現実を暴き出す。経営者側は「早期退職優遇制」や「昇進を約束した出向」など手管を操り、労働者の首を切ろうとする。しかし、まだまだ終身雇用の雰囲気の強い日本では、よほど潰れかかった会社でない限り、残ったほうが後々うまく行くケースが多いことを丹念な取材で明らかにする。
『頭が良くなる脳科学講座』
大島清『頭が良くなる脳科学講座』(ナツメ社 2003)を読む。
佛教大のレポートをまとめる際に参考にしたもので、脳の機能局在について簡易に説明されている。その中でウェクスラーの記憶検査について話が興味深かった。脳の神経細胞がもっともシナプスを増やし、結びつきを深めようとするピークは30歳代の前半にあるようだ。丸暗記のような単純記憶は小中学生に敵わないが、意味のある文章の記憶テストでは、記憶の神経回路が脳内を走り回っているので、蓄積した知識を引き出すにも、新しい情報を結びつけるにも最高潮の年代なのだ。つまり過去に得た知識や経験もとにした体系に位置づけられるので生涯の中で一番自分の専門領域を広げられる時期なのだ。確かに20代よりも物事を頭の中で整理することが得意になった気がする。30代前半というと私にはあと4年の猶予が残っている。少しでも知識を付け、自分の可能性を広げていきたいと思う。この時期だからこそ謙虚さを大事にしていきたい。