月別アーカイブ: 2004年9月

『困ったときの情報整理』

東谷暁『困ったときの情報整理』(文春新書 2001)を読む。
梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』から始まり、川喜田二郎氏の『発想法』や山根一眞氏の『スーパー書斎の仕事術』、野口悠紀夫氏の『「超」整理法』といったここ30年ほどの代表的な文章作成法、情報整理術の本を紹介しながら、物書きに向けた心構えを説く。これといった特筆すべき主張はないが、「インターネットで検索する前に入門書にあたれ」という指摘は鋭いと思った。

『伝わる・揺さぶる!文章を書く』

山田ズーニー『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(PHP新書 2001)を読む。
ベネッセで小論文指導を担当していた著者であるが、受験生のための参考書というよりも、指導する側に向けて文章指導力向上のポイントを分かりやすく説明している。そのため、原稿用紙の使い方や段落構成、展開パターンなど、実際の文章の書き方ではなく、分かりやすい「論点」の打ち出し方や、「論拠」のバリエーションや、語る視点の位置づけなどお詫びの文章などの具体例を交えて解説する。

作者は文章を書く上で基本となるのは「論点」(何について書くか)、「論拠」(意見の理由)、「意見」(自分が一番言いたいこと)の3要素だと述べる。
「意見」とは「自分が考えてきた問いに対して、自分が出した答え」である。小論文の根幹である。
「論点」とは「文章を貫く問いであり、筆者の問題意識」である。そのため、単に「地球環境について」ではなく、「地球環境の一番の原因は何か」「人と環境の折り合いをどこにつけるべきか」と「問い」の形で内容を絞っていくと全体像が掴みやすい。また仕事で議事録などを作成する際も、単に誰がどう言ったということをつらつら書いても誰も読まない。何を言ったかではなく、何を問題にしているかを書いていくと良い。前後の流れを押さえながら出席者の「論点」を掴んでいくことが求められる。

そして

  1. 自分の体験・見聞を洗い出す
  2. 必要な基礎知識を調べる
  3. 具体的事例を見る
  4. 別の立場を見る
  5. 海外と比較して見る
  6. 歴史を押さえる
  7. スペシャリストの視点を知る

そうした発想から得た「論拠」は次のような順序で配列するとよい。

  • 優先順位の低いもの→高いものへ
  • 具体的な根拠→抽象度の高いものへ
  • 時間的配列(問題の背景→現在→将来)
  • ミクロからマクロへ(個人の実感→社会問題→社会構造へ)
  • 賛否(賛成、反対の代表的意見の提示→両者の共通・差異点→そこから見える問題点)

shouron

補足

大学入試の志望理由を固める質問

  1. たくさんある学部・学科から、あなたはなぜそこを選んだのでしょうか?
  2. その学部・学科はどんなことを研究するところですか?
  3. その学部・学科で研究していくには、どんな能力・資質が必要ですか?
  4. その学部・学科で扱うテーマに関係して、今、世界や日本で、どんな問題が起きていますか?
  5. 上で答えたことの原因は何で、解決にはどうしたらいいと思いますか?
  6. その学部・学科で扱うテーマに関係して社会を見たとき、5年後、10年後に実現したい理想の社会は、どんな社会ですか?
  7. 学部・学科と絡めて、あなたは将来、どんな仕事をしたいですか?
  8. あなたの過去・現在をふりかえって、あなたは学部・学科にふさわしい、どんな長所を持っていますか? またどんな努力をしていますか?
  9. あなたが、その学部・学科で、ぜひ研究したいことを、意欲を持って、具体的に、人にわかるように説明してください。

『経済のニュースが面白いほど分かる本:日本経済編』

細野真宏『経済のニュースが面白いほど分かる本:日本経済編』(中経出版 1999)を読む。
数学の参考書を多数出版している著者であるが、この日本経済の入門書でも、公式や確認問題などチャート式の数学の参考書を模して作られ分かりやすい体裁となっている。

『「狂牛病」どう立ち向かうか』

矢吹寿秀『「狂牛病」どう立ち向かうか』(NHK出版 2002)を読む。
「NHKスペシャル」で放映された「狂牛病」についてのドキュメンタリーの単行本化である。NHKにありがちな、イギリス政府や日本の厚生労働省の情報公開の遅れに狂牛病大発生の原因を求めようとする論調一本槍な内容である。ウォルター・リップマンの著作『世論』(岩波文庫)にも、人間というものはあらゆる現象について熟知するわけにはいかないので、どうしても決まり切った型で物事を考える傾向があるという記述があるそうだが、NHKのドキュメンタリーに通じるものがある。

『食べて肉体改造』

平石貴久『食べて肉体改造』(講談社 2000)を読む。
柏レイソルのチームドクターを務める著者が、スポーツのための体作りの基本である栄養、そして食事メニューについて分かりやすく解説する。得てしてビタミンやらカルシウムやらの機能的説明に終始しがちであるが、この本では高田延彦や中田英寿やら実際のスポーツ選手の食事メニューとその効果について具体的に例示しているのでついつい頷いてしまう。

私も一年程前著者の別の本を読み、時折アセロラドリンクやらフランスパン、総合ビタミン剤を摂取するようになった。しかし、ストレスのためか、甘いものについつい手が伸びてしまい、糖分の多い缶コーヒーやらスナック菓子をほおばる毎日で、脂質の取り過ぎを反省すること頻りである。今まで糖質と脂質の違いについてあまり意識はなかった。だが、頭を多少とも使う仕事に就いているため、脳を働かせる栄養素である糖質をこれからは積極的に摂りつつ、皮下脂肪の原因ともなる脂質を押さえていく必要がある。さもないと取り返しのつかない事態になりそうだ。