大橋謙策『社会福祉士・介護福祉士になるには』(ペリカン社 1996)を読む。
社会福祉士の仕事の概要をおおよそつかむことが出来た。作者は社会福祉士の仕事をしていく上で望まれているポイントとして以下の5点を挙げる。
- 深い人間愛こそが、“福祉の心”の出発点であること。
- 「ためにする」から「ともに生きる」ことの感性を育てること。
- “歴史の重さ”に裏付けられ、社会の中で生きていることを考えること。
- 「単眼」から「複眼」へ見方を拡げ、サービスを関連づけること。
- “物”の援助のみではなく、人権尊重をふまえ、人間理解を深め、ひとりひとりの自立生活を援助すること。
大橋氏は得てして弱者に対して過剰な「ためにする」献身的態度を否定し、現在の社会福祉の地平が歴史的に積み重ねられたものであるという認識を持ち、「ともに生きる」共生社会実現に向けたオーガナイザーとしての社会福祉士を熱望する。制定当時の厚生省の社会局(当時)と健康政策局との調整がつかず、社会福祉士と精神保健福祉士が分立してしまうなど、縦割り行政の弊害が指摘されているが、そうした会議室で決定した下らない役割分担を越えて、住民主体のサービスの従事する心構えが、現場で働く社会福祉士一人一人に問われている。