日別アーカイブ: 2003年6月28日

『中国がシリコンバレーとつながるとき』

遠藤誉『中国がシリコンバレーとつながるとき:中国発出全球人材信息網』(日経BP 2001)を読む。
遠藤さんは筑波大学留学生センター(物理工学系)の女性教授である。ルポルタージュの形式で、シリコンバレーで活躍する中国人留学生やベンチャービジネス華やかな中国沿岸地域の模様を伝える。彼女自身中国東北地方生まれということもあり、遅々として改革の進まない日本の産業構造と中国の産学協同での経済政策の溝に、自らのアイデンティティの揺れをなぞらえている一風変った作品である。読み進めながら既にシリコンバレーで働く者の半数以上を有色人種が占め、その大半がインドと中国というのが現実だ。すでに日本のIT産業企業を解雇され、中国のベンチャーに再就職をするという日本人が出て来ている。政府もマスコミもこぞってアメリカにしか目が向いていない現実が逆に見えてきた。