二冊目は金沢大学医学部皮膚科教授竹原和彦『アトピービジネス』(文春新書 2000)である。
今もって原因の特定出来ていないアトピー性皮膚炎に苦しむ患者を食い物にする民間療法に対する批判の本である。ここ近年、アトピーの症状を抑えるステロイドが悪魔の薬であるかのようにマスコミで喧伝されているが、皮膚科医に対する悪宣伝や薬事法ぎりぎりのダークゾーンで商売する民間業者が跳梁跋扈している。そしてその商法は霊感商法のそれと酷似している。アトピーは一生治らず、ステロイド外用薬治療では症状は悪化するだけで、特殊な治療でしか治せないと脅し、患者の弱みにつけこむ阿漕な商売である。科学的な裏付けよりもまやかし的な商法に流れていく日本人の姿を的確に象徴していた。
『アトピービジネス』
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