日別アーカイブ: 2002年10月23日

トトロのふるさと財団

meitotoro

先日仕事の関係で、狭山丘陵でトラスト運動を行っている「トトロのふるさと財団」へ出掛けた。
都心に近い狭山の里山を開発から守るために活動している財団で、非常にこころよく迎えてくれ、狭山の開発の経緯やトラスト運動の始まりについて話を聞くことができた。単に自然を守ろうというスローガンを掲げるだけでなく、実際に狭山丘陵でうどんを作ったり、下草を刈ったりと自然に触れることで、自然の可能性を体感する行事も数多く手掛けている団体である。また環境学習も行っており、教育現場で是非活かしてほしいという。言いふるされた諫言であるが、テレビや教科書で学ぶこと知識以上に、自然から学ぶ体験は多様で意義深い。今流行りの環境を学ぶ教育ではなく、環境から学ぶ教育の在り方を考えてみたいと思う一日であった。

しかし聞くところによると、狭山のトラスト運動は、早稲田大学の人間科学部キャンパスが建設される際のむやみな森林伐採に反対するために立ち上がった運動を起源とするらしい。早大の人科は西武資本が後押しとなって、「創立100周年記念事業」として開設されたものであるが、不正入試事件を隠ぺいする意図が隠されており学内でのコンセンサスが充分に得られないままの出発であった。地域から愛されない教育機関は小学校から大学、専門学校を問わず不幸である。

それにしても、そもそも早大人間科学部は「多様な人間存在そのものの解明、人間と人間をとりまく自然環境や社会環境あるいは技術・情報環境との複雑な関係の解明という、人間研究の総合的なアプローチ」を目指した学部である。しかし、そうした学問を教育研究するためのキャンパス開発に対する反対運動の中に人間性の回復の原点があるというのも皮肉な話である。