日別アーカイブ: 2001年11月3日

『蒼ざめた馬を見よ』

五木寛之『蒼ざめた馬を見よ』(文春文庫)を十年ぶりに読み返す。
冷戦時代の60年代の作品でありいささか時代状況が古いが、正直面白かった。高校の時分にどのような感想をもっていたのか忘れてしまったが、全共闘運動華やかりし頃、バリケードの中で学生に支持された作家として五木寛之と高橋和己の名前が取り上げられるが、デビュー当時の五木氏の作品には確かにその息吹きを感じる。しかし現在の五木氏の作品から往時の迫力が消えてしまった点については様々な時代の分析待たれるであろう。

生徒への返信〜聖書

『創世記』を巡る解釈は無数にあると思うのですが、「禁断の果実」は人間の好奇心の象徴であり、神の言い付けを破ってしまうほど、人間は好奇心に溢れている動物であり、そして特に男性がその時々の社会的規範を逸脱しがちであるということを示唆しているというのが一般的な解釈ではないでしょうか。そしてエデンの園を追われた人間の先祖はその誕生から神に見放された存在であり、以降のバベルの塔や勇者ロトの悲劇の記述につながっていくのではなかったでしょうか。高校時代に読んだ聖書の記憶を今たどっているのですが、はっきりしません。抑圧と解放という観点ではなく、神への信心と好奇心という観点で見ていくべきものではなかったかと思います。抑圧と解放という視点で言うならば他にどのような具体例が挙がるでしょうか?