岡倉徹志『アラブのゆくえ』(岩波ジュニア新書)を読む。
高校の世界史の教科書のような内容である。オスマントルコの解体と列強の中東分割などの復習をしながら、やはり今秋のNYのテロは「イスラムVSキリスト」という安易な文明の衝突として見るのではなく、帝国主義・グローバリズムに対する歴史的な警鐘として捉えなくては、今後の歴史的世界観を誤るなとつくづく感じた。
東京新聞のコラム(2001年10月1日)で梅原猛は次のように述べている。
アメリカ国民は超大国の威信を傷つけられたという怒りにわれを失って、しきりに報復をと叫んでいるが、二十世紀最大の呪力をもった思想家マルクスやアラーの神の怨霊は、そのような武力報復によって容易に鎮められるものではあるまい。大国のおごりとしか思えない最近のアメリカの政策を深く反省し、粘り強く鎮めることこそ、世界が核戦争という無間地獄に陥ることを避ける大国アメリカのとるべき道である。