読書」カテゴリーアーカイブ

『自転車生活の愉しみ』

疋田智『自転車生活の愉しみ』(朝日文庫 2007)を読む。
自転車の入門書なのだが、パンク修理の手順やドイツの都市での自転車生活なども紹介されている。また、自動車の普及やロードサイドの大型店によって、都市中心部が空洞化していく実態を取り上げ、自転車の普及が、住民の生活を改善させるなどの提言もされている。

『日本民家の旅』

杉本尚次『日本民家の旅』(NHKブックス 1983)をパラパラと読む。
著者は大阪大学文学部の地理学科を卒業され、執筆当時は国立民族学博物館の教授を務めている。白川郷の合掌造りや砺波平野の散居村、東北地方の曲家など、有名なものも数多く紹介されている。刊行されてから40年経った本なので、現在進行ではなく、古い日本の家屋を眺めているような感覚になった。

『恐龍はなぜ滅んだか』

平野弘道『恐龍はなぜ滅んだか』(講談社現代新書 1988)を読む。
タイトルの通り、6500万年前の巨大隕石の衝突と大規模火山噴火が恐竜が滅んだ理由だという結論である。ただし、それまでの前提の説明が長くて飽きてしまった。私の最も苦手する生物・植物の分類学に関する話が半分を占めており閉口してしまった。
ただし著者は生物が専攻ではない。早稲田大学教育学部で地球科学教室を担当され、同大学院理工学研究科地球・環境資源理工学専攻の教授でもあった方である。
気になったところを書き抜いておきたい。

  • 植物が最初に上陸に成功したのは、約4億年前のことである。この時以降、植物は体の支持と温度変化、それに乾燥からの防禦に優れたものが順次繁栄していくことになる。(シダ植物から裸子植物の針葉樹林、そして被子植物へと進化していく)
  • 200万年前から1万年前までの時代を、特に氷河時代と呼ぶ。この時代が、寒冷化傾向のピークで、世界的に4回の氷河期が知られている。
    現在のグリーンランドの氷河は175万平方キロメートルあるが、氷河時代の最大の氷河は、ヨーロッパの北緯49度、パリにまで下がった。その面積はグリーンランドの10倍、1850万平方キロメートルと計算されている。この最大の氷河の時代には、対馬海峡も陸となり、多くの動物がアジア大陸から渡ってきた。私たちの祖先も、その時に日本人になったのだと考えられている。
    この氷河時代は1万年前に終わりを迎え、5千年前には、縄文海進と呼ばれる温暖な時期があった。極地方の氷も融け、海水の量が増えたため、海水準が上昇した。日本でも、現在の関東平野の奥深くまでが海になり、関東山地との境界地帯や丘陵地に、縄文時代の遺跡が知られている。しかし、その後、地球はまた寒冷の傾向になった。
  • ちなみに、氷河時代とそうでない時の赤道海域の水温の違いは、わずか4度Cであるそうだ。

『いつも読みたい本ばかり』

渡部一枝『いつも読みたい本ばかり』(講談社 1989)をさらっと読む。
著者は 1945年にハルビンに生まれ、1989年に18年間の保母生活に終止符をうち、チベットや中国、モンゴルへの旅を続けながら作家活動に入った人物である。
その著者が作家専業になったばかりに刊行された本である。日常生活を綴ったエッセーの中で、天気や季節、野菜などの身近なテーマの本を紹介したり、子ども向けの絵本やアフリカの実際、原発の恐怖など、幅広いジャンルの本も品揃えに加えている。

『遠い海から来たCOO(クー)』

第99回直木賞受賞作品、影山民生『遠い海から来たCOO(クー)』(角川書店 1988)を読む。
コロナでずっと横になっていたので、おもむろに手に取ってみた。白亜紀の首長竜が南太平洋のフィジー諸島で少年によって発見されるというファンタジー小説である。

細かい描写は読み飛ばしたが、大体内容を掴むことができた。残念なのは物語の主人公であるプレシオサウルスの話よりも、フランス軍やグリーンピースなどの人間の対立や戦闘シーンが多かった点である。恐竜が絶滅した理由に関する話は興味深かったので、もう少し恐竜の話が知りたかった。