読書」カテゴリーアーカイブ

『女王卑弥呼』

三枝和子『女王卑弥呼』(講談社 1991)を読む。
あとがきの中で、「この遺蹟(吉野ヶ里)を卑弥呼の生きた場所にしよう」とある通り、北九州周辺にあったとされる奴国や末盧国、不弥国といった国々との政治の駆け引きに翻弄される、一国のリーダーとしての卑弥呼の活躍が描かれる。最後は、宗像三宮に数えられる辺津宮、中津宮を経て、九州と朝鮮半島とを結ぶ玄界灘のほぼ中央に浮かぶ沖ノ島の沖津宮へと渡り、後継となる壱与の出産と同時に命を落とすという大胆な想像を交えた物語となっている。素直に面白かった。

『箸墓幻想』

内田康夫『箸墓幻想』(毎日新聞社 2001)を読む。
毎日新聞日曜版で連載された小説の単行本である。卑弥呼の墓とも言われる奈良県桜井市にある箸墓古墳とその脇にあるホケノ山古墳を舞台とした殺人事件で、畝傍山や橿原神宮、長谷寺、二上山など飛鳥地方を代表する観光地も数多く登場し、更には邪馬台国論争までも絡んだボリュームたっぷりの内容であった。400ページを超える作品であったが、歴史ミステリーにどっぷりと浸かることができた。
後半は、作者お得意の戦前戦後の混乱期での複雑な人間関係が話の中心となるが、最後まで古墳に纏わる古代史の魅力が色褪せず、楽しく読むことができた。
いつか、三輪山から箸墓古墳を経て春日山まで通じる日本最古の道ともいわれる「山辺の道」を走ってみたいと思う。

『今すぐ使えるかんたん WordPress入門』

富士ソフト『今すぐ使えるかんたん WordPress入門』(技術評論社 2014)を読む。
しばらく前に本屋で新刊で買っておきながら放り投げていた本である。
このサイトもWordPressで作成しているが、よく分からない機能だらけである。
ページのフォーマットやパスワードのかけ方、ドロップボックスを用いたバックアップなど、今すぐ使えるチップスが役に立った。

『無頼化する女たち』

水無田気流『無頼化する女たち』(洋泉社 2009)を読む。
ちょうど伊豆大島の往復のフェリーに乗っている間に時間があったので、久しぶりに新書を立て続けに3冊読んだ。
最初は一人称の語り口調の文章に苦手意識が立ったが、読んでいく内に水無田さんの独特の文体のリズムにはまってしまい、一気に読み終えた。
現代女性女性をめぐる諸問題について、1980年代、1990年代、2000年代の3つに分けて論じている。とりわけ印象に残った一節を引用してみたい。

 公的な場(たとえば職場など)では、女性は「性的対象としてだけ見られる」ことは、侮蔑である。だが一方、私的な場では、「性的対象として見られない」ことこそが、侮蔑となる。
 前者は正しさ界、校舎は望ましさ界に親和性が高い。しかし、公的な場でも、完全に性的対象として見られない(女性としての魅力がない)ことは、望ましいとは言えないどころか、暗黙の差別を生む。東電OL殺人事件を、思い出してほしい。
 アンドレア・ドウォーキンのように、「女性として見られることそれ自体が差別」と言い切れるならば、話は単純である。だが、多くの女性は、その境地にたどり着けない。それは正しさよりも望ましさが日常を覆っているからである。

『原発の闇を暴く』

広瀬隆・明石昇二郎『原発の闇を暴く』(集英社新書 2011)を読む。
2011年7月、福島第一原子力発電所事故にかかわる責任者・学者32名を東京地検特捜部に刑事告発する直前に出版された本である。
福島第一原発事故に際しての東京電力側の動きや、政府関係者の動向が対談形式でまとめられている。計画停電が東京電力の意図した通りに実施された背景や、地球温暖化の原因である二酸化炭素撲滅運動が原子力を推進する電気事業連合会によって喧伝されてきたからくりが丁寧に説明されている。
最後に、原発の代替として再生可能エネルギーを安直に過信するのではなく、まずは廃炉を決定した上で、天然ガスを中心とした火力発電中心に切り替え、徐々に再生可能エネルギーを向上させるべきだと述べる。また、当時は、電力が自由化されるとコスト高な原子力発電は自然に淘汰されていくと予言しているが、現実には、様々な規制が掛けられ、電力自由化の4月以降も原発依存の流れは続いている。
もっとエネルギー問題全般についての勉強が必要であると反省した。