漫画」カテゴリーアーカイブ

『僕だけがいない街』

三部けい『僕だけがいない街』(カドカワコミックス・エース 2013)全8巻を読む。
映画「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」や映画化もされた小説「時をかける少女」のようなタイムリープもののSF漫画である。時間を遡って殺人事件を追う青年(少年)が主人公の物語で,荒削りな画風が物語にテンポを与えている。全ての話の辻褄が8巻で一応完結し,番外編として第9巻が刊行されているのだが,まだ手に入れていない。話を忘れないうちに読んでおきたい。

『風の谷のナウシカ』

宮崎駿『風の谷のナウシカ コミック』(徳間書店 1994)全7巻を読む。
学生時代だったかに一度読んだことがあるのだが,内容はすっかり忘れてしまっていた。
ナウシカという10代の女性を通して,動植物が平和に暮らす清浄な新世界のありようを模索しつつも,殺戮と破壊を繰り返し,新世界では生きられないように人工的に汚染された人間の苦悩を描き出す。

途中で何年も休載を挟んだせいか,途中で話が上手く繋がっていないところがあり,読み解くのに苦労したが,自然を破壊する人間に対する厳しい眼差しと,一方で,そうした貪欲に生きる人間に世界を築いていく希望を託したいという宮崎駿氏のメッセージが伝わってきた。

『AKIRA』

大友克洋『AKIRA』(講談社 1993)全6巻を一気に読破する。
ぐだぐだとあらすじを述べるのは不要だろう。
映画作成のため長期休載を経たので、前半と後半の繋がりに疑問を感じる場面があったり、特に後半は様々な思惑や勢力が入り乱れ、話がややこしくなったりするが、そうした疑問や前半に張られた伏線が圧倒的なアキラくんのパワーで気持ちいいほどに薙ぎ倒されていく。

『コミック 徳川家康』

横山光輝『コミック 徳川家康』(講談社 1984)全23巻を読破した。
山岡荘八の原作を忠実に漫画化したもので、徳川家康の誕生から逝去までの苦難国難の歴史を丁寧に描く。何だかんだ読み終えるのに、3ヶ月近く掛かった。日本史の教科書にはあまり出てこない家康の家臣団や戦国武将のエピソードが興味深かった。服部半蔵や茶屋四郎じろう、
小牧長久手の戦いや大坂の陣など、教科書には原因と結果しか書かれていないが、歴史に残らないような数々の運や複雑な人間関係の上に成立した史実だということがわかった。タイトルにもなっている通り、「家康=正しく歴史進歩させた人」という視点に立っているので、今川氏や北条氏、石田三成などは「歴史的なミスを犯し、失敗した人」というレッテルを貼られてしまう。本書では、戦国時代の悲哀を味わい尽くした家康が徹底して武力を否定した平和を望んだ結果、元和偃武という大団円で終結するという流れになっているが、実際はどうなのだろうか? あくまで小説や漫画の世界なので、単純に楽しめれば良いのだが、歴史の見方の難しさの一端を感じた。おそらく正解は1つに絞られても解釈は無数にあるので、収拾がつかないであろう。
関ヶ原の合戦以降に、伊達政宗が登場するのだが、紙幅の都合なのか、突然表舞台に登場して、引っ掻き回すだけのピエロ役になっていたのが唯一心残りであった。