投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『歴史の古い都市群1』

夏休みの14冊目

藤岡謙二郎『歴史の古い都市群1:東京とその周辺の都市』(大明堂,1984)をパラパラと読む。
地理学の専門書で、分野としては歴史地理学の分野になるのであろう。執筆者も地理学だけでなく、歴史学の専門家も名前を連ねている。主に江戸時代以降の地形や鉄道や運河などの交通網の開発などから、東京、横浜だけでなく、鎌倉、府中、石岡、川越、銚子、関宿・境、水戸、前橋などの都市の発展が論じられている。

昭和の初期までは、水戸や前橋、高崎、行田、佐倉など、江戸時代の頃の城下町や宿場町が発展したが、高度経済成長以後、那珂湊や佐原、木更津、龍ヶ崎、桐生など、高速道路のインター近くやや鉄道の駅が増えてくる。

かつては隅田川で大学のボートレースが行われていたが、1960年代から隅田川の汚染がひどく、大学クルーの漕艇場は次々と戸田へ引っ越して行った。それが復活したのが、1978年の早慶対抗戦からであった。

現在はダウン・タウンというような意味で、「山の手・下町」とが対立的に考えられているが、江戸以来の「山の手」に対する「下町」は、千代田の城の下に広がっていた、誇り高き「城下」の町を指していったものであった。

「中国の少数民族」

本日の東京新聞朝刊の社説に、新疆ウイグル自治区での中国政府の弾圧に対する批判が掲載されていた。新疆ウイグル自治区は中国の内陸の奥に位置する砂漠地域にある。漫画「ドラゴンボール」にも登場する牛魔王が暮らす火焔山があることでも知られている。住民は2,500万人ほどで、多くはイスラム教を信仰している。しかし、台湾やチベット自治区、内モンゴル同様、中国共産党以外の「信仰」を認めない習近平体制以後、漢民族による同化政策が激化している。

記事にもあるが、街中の屋台や路地裏まで監視カメラが設置されたり、タクシー内の会話は全て録音されたり、イスラム教徒にとって大切な礼拝所も中国風に改装されたりと、漫画に登場する独裁国家のような状況が広がっている。全くもって酷い話である。

最後に「民族固有の文化や宗教を尊重する政策への転換が急務だ」とまとめられているが、これは中国だけでなく、イスラエルやロシア、ミャンマー、シリアでも鳴らすべき警鐘である。

『ネット王子とケータイ姫』

夏休みの13冊目

香山リカ+森健『ネット王子とケータイ姫』(中公新書ラクレ,2004)をパラパラと読む。
2004年6月に長崎県佐世保市の小学校内で、6年生の女児が同級生を殺害した事件の背景にインターネットの書き込みトラブルがあったという書き出しで始まる。ネットが犯罪を誘発しているのではないか、ネットは子どもの成長によくない、ケータイ友達が危険な人間関係を作り出す、ゲーム依存症は暴力性を生むといったネットやケータイに対する批判を取り上げ、そうした批判を生み出してしまう日本の社会や教育の貧困を批判するという内容である。といっても、これといった解決策はなく、ネットやケータイはあくまで道具であり、生身の親子関係、友達関係を十分に作ることが大切であると述べる。

「日本海にM7以上の活断層25ヵ所」

新潟から兵庫にかけての日本海沖に、M7以上の巨大地震を引き起こす可能性のある活断層が25ヵ所あるとの調査が報告されたと、本日の東京新聞朝刊で報じられていた。今年の1月の能登半島北岸断層帯を中心に、新潟から兵庫まで、びっしりと活断層に覆われている。

こうした日本海側の活断層も海底プレートの西進が影響している。日本は4つのプレートがぶつかる地震多発地帯である。太平洋プレートが年間2〜7センチほど、千島海溝〜日本海溝〜伊豆・小笠原海溝に沈み込んでいるのだが、その歪みが日本列島を飛び越えて、日本海沖まで影響を及ぼしているのである。

中学校の時に、「フォッサマグナ」という言葉を習ったと思う。人類誕生のはるか昔、約1,500万年前まで、東日本と西日本は繋がっていなかった。それが、海底火山からの噴出物と太平洋プレートが運んできた石灰岩が堆積して、東日本と西日本が繋がったのである。だから今でも糸魚川−静岡を西縁とする大陥没地帯が関東甲信越に広がっているのである。