『はたらく青年』

原田宗典『はたらく青年』(中央公論社,1994)を読む。
いま箱根駅伝で早稲田大学の選手で山登りの5区で先頭の中央大学の学生を抜きかけているところである。
作者も早稲田大学出身で、学生時代のアルバイトにまつわるはちゃめちゃエピソードが綴られている。その中で下落合の学徒援護会の話が面白かった。作者の学生時代は黒板に白墨で条件が書かれており、番号を控えて受付へ申請する形式であったようだ。日雇いでその日の仕事が紹介され、昼過ぎに行くと「残り物」といった内容が多かったとのこと。

私の学生時代には、「内外学生センター」というのが正式名称であったが、当時でも「学徒」と言い慣わしていた。懐が寂しくなると、下落合まで行ってその日の昼からの仕事を探していた。私の頃は、黒板ではなく、朝の受付時間開始と同時に、職員の方が掲示板に紙を掲示していった記憶がある。そこで、張り出された途端にめぼしいものを見つけ、すぐ傍に並んだ公衆電話にダッシュした思い出がある。什器の搬入など時給の良いバイトはすぐに埋まり、午後に行くとヤマザキパンやサカイ引越センターなどしか残っていなくて、気乗りしないまま申し込んだ記憶もある。

「人口増加抑制」やめたのに…中国、出生数が半減」

本日の東京新聞朝刊に、中国の出生数が10年で半減したとの記事が掲載されていた。
少子化で喘ぐ日本より状況は厳しいようだ。2000年代は「世界の工場」とも呼ばれていたが、海外資本の軽工業の多くが撤退したこともあり、若者の就職難が結婚・出産に大きな影を落としているようだ。

しかし、就職状況が好転し、売り手市場の日本でも出生数が激減していることを考えると、就職難だけではなさそうだ。結婚や出産などは極めて個人的なテーマであるため、核心をズバリとつく政策は難しい。婚外子でも十分な手当が保障される制度や、多子世帯への異次元な給付などしか

元日サイクリング

今年の元日も関宿城までサイクリングをした。
全く走っていないので、往復2時間のポタリングで結構疲れた。
走りながら来し方行く末について思いを巡らせていた。
今年は結構エキサイティングな年になりそうだ。健康面だけは留意したい。

『宇宙と生命の起源』

嶺重慎・小久保英一郎編著『宇宙と生命の起源:ビッグバンから人類誕生まで』(岩波ジュニア新書,2004)を読む。
京都大学大学院理学研究科の教授が中心と編集を担当しており、タイトル通り、143億年前のビッグバンの解明に始まり、宇宙空間に水素とヘリウムが多い理由や、超新星爆発によって鉄までの元素が作られる過程などが丁寧に説明されている。最後はもうヤケクソ(笑)で、進化生物学者の教授による鉄と炭素からアミノ酸が作られる実験も紹介されている。京都大学らしいというか、中高生向けに宇宙スケールから細胞、分子、ニュートリノレベルまで、科学の魅力がたっぷりとつまっている。

天の川銀河やアンドロメダ銀河と並ぶ、銀河群として大マゼラン星雲や小マゼラン星雲がある。南天にあるため、北半球の日本からはほとんどみることができない。大航海時代にスペインのマゼランが世界一周(本人はフィリピンで死去)の際にヨーロッパに伝えたことに由来する。

哺乳類は胎内で幼児を産んで、母乳で育てる。その哺乳類の最大の特徴は、代謝機能が向上して、体温を調整する能力をもっていることである。哺乳類が進化したのは恐竜時代の真っ只中である。恐竜は気温が低下する夜間は活動をしない。哺乳類はその夜間に活動することで、恐竜時代を生き抜いたのである。

読みながら、ドラえもんの秘密道具にあった「地球セット」を思い出した。子どもの頃は何気なく読んでいたが、地球や生命の誕生をしっかりと踏まえた道具であった。

『気象なんでも百科』

高橋浩一郎『気象なんでも百科』(岩波ジュニア新書,1984)を読む。
著者は東京帝国大学を卒業後、気象庁長官まで務め、筑波大学でも教鞭をふるった一流の学者である。1960年代に比べ、地球温暖化ではなく、地球寒冷化が進んでいるとの研究もあった頃に刊行された本であるため、異常気象や旱魃などの説明は少ない。それでも、雲や雨、虹などの仕組みが見開き2ページで説明されており、中高生でも読みやすい体裁となっている。
参考になったところを抜書きしておきたい。

季節風がアジアではっきり現れ、アメリカなどではっきりしないのは、地形の影響と考えられる。アジアでは東西にのびるヒマラヤ山系があり、冬の寒気はこの山系の北側で囲まれるため、強い高気圧となる。しかし、アメリカには南北に走る大きな山脈はあるが、東西にのびるものはないので、寒気ができても南に方に流れてしまい、強い高気圧ができないためである。

低気圧や高気圧の速度は持続性があり、1〜2日は同じくらいの速度で移動する。一般に寒い季節は速く、平均時速40kmくらいで、暖かい季節はその半分くらいになる。冬の雨はすぐに止むが、夏の雨は長引くことでも分かる。また、日本を通る低気圧の経路も一定の傾向があり、陸地を避けつつ、海上を北東方向に進んでいくものが多い。

台風の語源はよく分かっていない。明治の末、第4代中央気象台長になった岡田武松によってとつけられた。もとは颱風と書き、中国の福建省で異常に強い風を「颱」といったことからきたとも言われ、台湾付近の強い風だからとも言われる。英語のtyphoonも台風の音からとられたものとも言われるが、古いギリシア語のティフォン(Typhon、怪物)からきたとも、アラビア語のツファン(Tufan、強風)からきたとも言われる。

11月3日の文化の日は、もともと明治天皇が生まれた明治節に由来するが、移動性高気圧に覆われ、その前後の天気と比較すると晴れることが多いことも関係しているようだ。
温度の単位は、ふつう水が凍る温度を0度、1気圧で水が沸騰する温度を100度とする摂氏温度が使われている。このほか人間の体温(摂氏38度)を100度、氷と塩を混ぜてえられる温度(摂氏-18度)を0度とした華氏温度も使われている。

農作物は普通10度以上になると成長をはじめ、温度が高いほど生育が早い。そこで日々の気温から10度を引き、その値がプラスの場合を加え合わせた値、有効積算温度がある一定以上に達しないと収穫はできない。これを度日(デグリーデー)という。有効積算温度は米で3200度日、トウモロコシで2300度日、麦では1600度日の程度である。つまり米は気温の高いところでないとできないし、麦はその半分の気温で収穫できるのである。

地表での圧力は1013ヘクトパスカル、つまり1平方メートルにつき、10.13トン、10300kgの重さがかかっているという計算である。以前は水銀を用いて、大気圧の力で水銀が真空の中を持ち上がる高さで気圧を表現していた。1984年以降、水銀由来のミリバールからヘクトパスカルに変更となっている。

流氷というと、平べったい板状の氷を思い浮かべるが、それは全く違う。海水が凍ると体積が膨張して密度が0.92くらいになるので、流氷は海に浮かぶことになる。しかし、海面上に見えているのは流氷の9%くらいであり、それよりはるかに大きい部分が海面下にある。1912年のイギリスのタイタニック号が北大西洋で沈没し、1513名が亡くなったのは、氷山に衝突したためであった。