中村靖彦『コンビニ ファミレス 回転寿司』(文春新書,1998)を読む。
著者は東北大学文学部を卒業後、NHKで食の取材を重ねてこられ、執筆当時解説委員と女子栄養大学客員教授を務められている。もう30年くらい前の本であるが、タイトルにあるコンビニ食やファミレス、回転寿司だけでなく、食料自給率やフードロス、米余り、冷凍食品技術、遺伝子組み換え、子どもの孤食など、現在にもつながる食をめぐる様々な課題に言及している。「子どもの食卓はその家庭や家族状況を知るための手掛かりになるだけでなく、その時代の食事情をうかがわせる入口」だと著者が述べるように、個別の食事や食生活が、時代を反映する鏡となっていることに気づく。
米余りの分析が興味を引いた。10アールあたりの年間労働時間(1996年)を比べると次のようになる。
- 稲作 38時間
- 露路野菜 110時間
- 温室・ハウス野菜 212時間
- 温室の花栽培 236時間
上記の統計を見ても分かる通り、米は他起こし、田植え、収穫作業まで一貫して機械化されているし、共同の施設もあり、雑草をとるにも除草剤があり、病気や害虫を防ぐ農薬まで準備されている。他の作物に比べ3分の1から6分の1の労働時間ですむ。だから、サラリーマンしながらの第二種兼業農家として最も適した作物となった。といってもコメも1970年(昭和45年)には、10アールあたりの労働時間は117.8時間であった。必ず政府が購入する食管制度に守られ、農機具メーカーも開発努力を継続できたことが背景にある。