『〈じぶん〉を愛するということ』

香山リカ『〈じぶん〉を愛するということ:私探しと自己愛』(講談社現代新書,1999)を少しだけ読む。
専修大学の「サブカルチャー論」の授業をもとに構成されている。宮崎勤事件やニューエイジ思想、バンドブームなど現在60代となった「新人類」世代直撃の文化と人間模様について論じている。著者の本領が最も発揮された著書ではなかろうか。

「原爆作家・大田洋子を伝え続ける江刺昭子さん」

本日の東京新聞朝刊に女性誌研究家の江刺昭子さんが紹介されていた。
東京都内では昨日の夕刊に掲載されているのだが、春日部は夕刊が廃刊となったので、本日の朝刊付けの掲載となっているのが寂しい

取り上げられた江刺さんは国語国文科の先輩にあたる。29歳の時に、原爆小説『屍の街』を書いた大田洋子さんの自伝を著し、「私の最初、そして最後の仕事が『大田洋子』なのかもしれません。卒論ではないですが、ちゃんと書いたと、本人に認めてもらえたらいいのですが」と述べており、御年83歳になられた現在も文学碑の式典や被爆関連行事に参加している。

江刺さんは『にんげんをかえせ』の峠三吉や『夏の花』の原民喜と並び称される原爆作家の大田洋子に対し、「正当な評価をされてこなかった」と精力的な取材を重ねてきた。日の当たらない分野に生涯をかけてきた江刺さんの生き方もひしひしと伝わってきた。

『言わなきゃいいのに……』

林真理子『言わなきゃいいのに……』(文藝春秋 1987)をパラパラと読んだ。
ちょうど直木賞を受賞した頃のエッセーで、締切に終われ海外からファクシミリで原稿を送信するドタバタなどのエピソードが紹介されている。

『食の精神病理』

大平健『食の精神病理』(光文社新書,2003)を少しだけ読む。
著者は東京大学医学部を卒業され、聖路加国際病院に勤務される精神科医である。『豊かさの精神病理』や『やさしさの精神病理』などの著作を出されているが、本作は二匹目、三匹目のドジョウを狙ったような作品で、何が言いたいのかよくわからなかった。

『工学部の総合的研究』

野口裕久監修『工学部の総合的研究』(旺文社,2005)をパラパラと読む。
旺文社が刊行している『螢雪時代』の焼き直しに近い内容で、工学部に属する学科の勉強内容や最新の研究が紹介されている。特に名前だけではよく分からない応用物理学や経営・管理工学、システム工学の分野が丁寧に解説されている。