
組合の総会で、小原浩靖監督・脚本『原発をとめた裁判長:そして原発をとめる農家たち』(2023 Kプロジェクト2022)を観た。
大変興味深い映画だった。前半は2011年の東日本大震災以降、原発再稼働で揺れた裁判において、2014年に関西電力大飯原発の運転停止命令を下した樋口英明・福井地裁元裁判長と、全国の原発差止訴訟の代表を務める河合弘之弁護士の両名がタッグを組んだ裁判闘争の模様が報じられる。また、後半に入ると福島・二本松で資金や許認可、地元の合意などと闘いながら、有機農業とソーラーシェアリングの取り組みを始めた近藤恵さんや大内督さんたちの農業に掛ける思いが綴られる。どちらも極めて笑顔でポジティブにしぶとい闘いに向かっている姿が印象的であった。
『バルセロナ、秘数3』
中沢新一『バルセロナ、秘数3』(中央公論社 1990)をパラパラと読む。
オウム真理教事件が起こる前であり、著者が尖っているころの作品である。冒頭はバルセロナの旅行記風の軽快な出だしだが、途中からカタルーニャを象徴する3という数を崇拝する新興宗教のような内容となっていく。1は男性、2は女性、3は生命、そして4は神を示すという。
後半は以下のような内容が延々と続く。
もうおわかりでしょう。秘数4は、自分のなかに、多様性を圧倒して、それを統一性のもとにゆだねる権威主義への萌芽を、原理的に宿しています。ところが秘数3には、それは思いもつかないことなのです。ひとりひとりの人格は、三位一体としてつくられています。ですから、もともと絶対的な多様性として、ほかのなにものにも還元できない自立性や単独性をそなえているはずです。こうして、3は自分を包囲する4との、終わりのないたたかいにたえなければならなくなったのです。
『学校で教えてくれない職人の仕事』
株式会社エディト企画・編集『学校で教えてくれない職人の仕事』(竹村出版 1999)をパラパラと読む。
「職人」といっても幅広く、花火師や甲冑師、錺師などの伝統職人から、畳や時計修理、クリーニングなどの暮らしの職人、完熟梅干しや佃煮、羊羹などの食の職人、背景画家や人形師、ピアノ調律師、サーブボードシェイバー、盲導犬訓練士など、てんこ盛りな内容となっている。その中で、私も高校卒業後の職場で教わった「3日、3ヶ月、3年」という言葉が印象に残った。「何事も3日我慢できれば3ヶ月、3ヶ月我慢できれば3年、そして3年我慢できればずっと続けられる」という意味の言葉である。当時もなるほどと思ったが、30年経った今でもなるほどと思える不思議な言葉である。
『ファンタジーの冒険』
小谷真理『ファンタジーの冒険』(ちくま新書 1998)をパラパラと読む。
古今東西のファンタジー小説の評論集である。非常に読みにくい文章で、ほとんど読み飛ばしたが、日本のファンタジーノベルを代表する作家として、先日亡くなった酒見賢一氏を取り上げていたのが印象に残った。
何を評価しているのかは、文章を読んでも分からないが、高い評価を与えているということは理解できる。
歴史でもなければ、歴史小説でもない、どこか『真実』とみまごう『偽史』の語り口は、歴史的言説とそれを成り立たせている記述的方法論それ自体と戯れているように見える。

