『バルセロナ、秘数3』

中沢新一『バルセロナ、秘数3』(中央公論社 1990)をパラパラと読む。
オウム真理教事件が起こる前であり、著者が尖っているころの作品である。冒頭はバルセロナの旅行記風の軽快な出だしだが、途中からカタルーニャを象徴する3という数を崇拝する新興宗教のような内容となっていく。1は男性、2は女性、3は生命、そして4は神を示すという。
後半は以下のような内容が延々と続く。

もうおわかりでしょう。秘数4は、自分のなかに、多様性を圧倒して、それを統一性のもとにゆだねる権威主義への萌芽を、原理的に宿しています。ところが秘数3には、それは思いもつかないことなのです。ひとりひとりの人格は、三位一体としてつくられています。ですから、もともと絶対的な多様性として、ほかのなにものにも還元できない自立性や単独性をそなえているはずです。こうして、3は自分を包囲する4との、終わりのないたたかいにたえなければならなくなったのです。