万景峰号と甲子園

今月は少し時間の余裕があったのでテレビを何ともなしに眺めている時間が多かった。その中で2つのニュースが気になった。

1つは北朝鮮と日本を往復する貨物船万景峰号の騒ぎである。まさに事件そのものよりも,マスコミが事件を創り出してしまう恐怖を実感した。拉致問題と貨物船問題というベクトルの違う問題を怒号と涙で一緒くたにされてしまった。複雑な事件ほど善悪,功罪をきちんと分けて見ていく必要がある。そうした物事を冷静に捉えようとする視聴者の「思考」を停止してしまうテレビの力は恐い。

2つめは甲子園での今治西高校の曽我選手の件だ。マスコミの側が懸命に努力物語を作ろうと取材を重ねているが,本人は極めてクールであった。その分だけマスコミ側の滑稽さが際立った。彼は「(障害のある人たちへの)励ましのために野球をしているわけじゃないけど,何か感じてくれるのはうれしいです」と語ったそうだが,日本におけるバリアフリーも新しい段階に来たのではないかと思った。肩肘張らず,「優しさ」を切り売りする形ではないボランティアの形態も生まれてくるのではないだろうか。

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