『中国・台湾・香港』

中島嶺雄『中国・台湾・香港』(PHP新書1999)を読む。
PHPから出されているくらいなので、自由と民主主義の成功により経済成長著しい国として台湾を取り上げ、共産主義への相変わらずの偏向的な見方が随所に見られるが、中国の置かれている状況の一端が理解出来た。著者はかつて「『中華連邦共和国』試論」という論文を書き、多元的な中国像を提案し、中国共産党からビザの発行停止扱いを受けている。中国共産党は台湾の独立が国家分裂のきっかけになってしまうのが怖いのだ。現在でもウイグル自治区やチベットの独立運動に関わっているものを徹底的に処分しているときく。著者はこうした状況を踏まえ、米中対立構造を基調に据え、改めてアメリカ支持を打ち出しながら、中国を封じ込めていく政策を提案する。著者のスタンスには同調しないが、北朝鮮ばかりに関心が行き過ぎている中、中国共産党の軍事依存体質や軍需産業には逐一批判を加えていくべきだろう。

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