『「皇室・王室」がきちんと分かる本』

 広岡裕児『「皇室・王室」がきちんと分かる本』(オーエス出版 2002)を読む。
 手に取りやすいようにとの配慮のためか、一文一文で丁寧に改行してあるのだが、かえって読むリズムが崩れてしまい内容がいまいち頭に入らなかった。
 内容的にはベルギーや英国のロイヤルファミリーと比較しながら、主観をあまり交えずに淡々と皇室の仕組みや歴史を述べる。著者の立場は下記の引用に表れている。
 現在の祝日の多くが天皇絡みだというのは良く知られていることである。「みどりの日」は「昭和天皇の誕生日」、「文化の日」は「明治天皇の誕生日」、新嘗祭が「勤労感謝の日」、春分・秋分の日も天皇家の祖霊の降霊祭に端を発する。そして、2月11日の「建国記念日」は戦前の「紀元節」で神武天皇が即位したとされる日が元になっている。この紀元節は1958年に復活したのだが、これに三笠宮崇仁親王が歴史学者として国家が法的に決定するのに反対を表明して話題になったという話が興味深かった。三笠宮氏は「文藝春秋」1958年2月号で、日本の先史時代を概観した後、神武天皇即位が後代の作為でありそれを太陽暦にあてはめた2月11日も架空の日であるとして、「日本紀元二千数百年という思想は決して古来から存在したものでないこと、それはむしろ西暦紀元の輸入に伴って明確化した考え方であった」と断定している。

 皇室典範もふつうの法律の一つです。法律は国会で決まります。内閣総理大臣は国会が指名します。ですから、天皇をどうするか、皇室をどうす るかは国民一人一人の問題です。たとえ憲法改正論議が出てこなくても、いつでも身近な問題なのです。すべては国民のてに委ねられています。思えば、天皇や皇室の存続とあり方はときの権力者の手中にありました。いま国民主権になって国民全体が権力者になりました。ですから当然のことなのかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください