『キャッシュカードがあぶない』

柳田邦男『キャッシュカードがあぶない』(文藝春秋 2004)を読む。
スキミングや暗証番号の盗撮によってカードの情報が盗まれ、何千万円の損害を被ったにも関わらず、当の被害者が被害届すらだすことができない現行の金融政策や銀行のシステムに対して批判を展開する。私自身銀行や携帯の暗証番号に類推されやすい番号を使っており、我が身の危険も感じながら読んだ。しかし、現在の犯人集団はそうした番号そのものを盗み出してしまうので、もはや利用者の意識の啓蒙だけでとても防げるものではない。にも関わらず「自己責任」を盾に利用者に責任を負いかぶせる背景には、金融庁と銀行業界のなれ合い体質が指摘され得るだろう。
柳田氏の本は初めて手にしたが、読みやすい文体で好感が持てる。ただ事実を淡々と語る正統ノンフィクション調の文章は少し飽きが出てしまう。

参考サイト:盗難・偽造キャッシュカード被害者の会「ひまわり草の会」

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