『さらば外務省:私は小泉首相と売国官僚を許さない』

先日東京新聞(2007年8月3日付夕刊)を読んでいて、先の参議院選挙に「9条ネット」から立候補した元駐レバノン大使の天木直人氏の発言が気になった。天木氏は、2003年8月に当時の小泉純一郎首相へ米国主導のイラク戦争を支持しないよう意見具申した公電を送ったことで実質的な解雇処分を受け、外務省や政府の外交政策を実名を挙げて批判した人物で知られている。その天木氏は東京新聞の記事で次のように発言している。

憲法9条を守らなくてはいかんという強い思いを持ったのは外務省を辞めてからなんですよ。在職時は今の憲法を未来永劫変えないという考え方が果たして国際政治の中で通用するのかと思っていた。少なくとも攻めてきた時には戦わなくてはいかんじゃないか。そのためには軍隊は必要じゃないか。(中略)ところがよく考えてみると、現行の憲法を一字でも変えたら、果てしなく軍備拡大につながっていくのじゃないかと。(中略)特に今の日本の置かれている状況を見た時、アメリカが日本を守るというよりも世界征服のために自衛隊を使おうとしているとしか思えない。今のアメリカのテロとの戦いへの協力は拒否すべきだと思う。

つまり天木氏は憲法9条護持の一点突破こそが、米国追従の日本の政治の脱線を防ぐ求心点だと述べるのである。そしてそれを政策として立案するために参院選に立候補したということだ。

夏の12冊目
そこで、天木直人『さらば外務省:私は小泉首相と売国官僚を許さない』(講談社 2003)を読んだ。

折りしも、昨日付けの東京新聞朝刊に小沢民主党代表がテロ対策特別措置法について、「ブッシュ大統領は国際社会の合意を待たずに、米国独自で開戦した」と指摘し、「日本の平和と安全に直接関係のない地域で米国と共同の作戦はできない」とし、「米国の活動は国連で直接にオーソライズされたものではない」と延長に反対する意向を米国に伝えたという。世界の平和も外交も経済も国連中心主義がよろしく、国連お墨付きの平和活動であれば、9条に抵触しないといった解釈主義が小沢氏の持論であるが、この点については小沢氏はここ10数年あまりぶれていない。93年のPKOの頃では、小沢氏の見解は専守防衛を旨とした平和憲法の9条の精神を大きく逸脱するものだと批判を浴びたものである。しかい、ここ数年の小泉・阿倍内閣における米国盲信の日米同盟の錦の旗の下、テロ対策特別法や有事関連法、自衛隊派遣法の全てがまかり通ってしまう自民党ごり押し政治に比べると、まだ手続きを重視しているだけマトモに見えてしまう。

天木氏も指摘している通り、

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください