大関洋子『素敵なお産をありがとう:離婚、子連れ再婚、高齢出産の末に』(祥伝社 1991)を読む。
出版当時、埼玉県で高校の教員をしていた著者が、自らの出産映像を公開するまでの波乱万丈な経緯が詳らかに描かれている。
著者の大関さんは、大学卒業後すぐに学生時代の友人と結婚をした。しかしその結婚の半月程前に、夫となる男性の浮気を知り、不信感を抱えたまま結婚生活に突入することになる。幸い二人の子どもを授かったものの、夫婦の信頼関係は冷えきったままであった。そして当時16歳年下の合唱部の教え子と深い仲になり、子どもを連れて再婚に踏み切った。その後二人の子どもが新しい夫との間に出来たが、元夫との離婚協議がこじれ最中のことであり大変慌ただしいものであった。そこで、両親の愛の結果生まれた子どもを楽しく育てることこそが家族を支えるとの考えの元、新しい夫との間に授かった3人目の子どもの出産の一部始終を長男にビデオに撮ってもらったとのことだ。
元夫との冷たい夫婦生活の営みや教え子との関係など「過激」なシーンも途中に含まれる。高校の教員というと、「模範」的な家族を営まねばならないという世間の視線が付き纏うが、そうした視線をするりと跳ね返して、自らの理想的な家族像を追う著者の家族への強い思いと行動がよく伝わってくる作品である。
『素敵なお産をありがとう』
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