本日の東京新聞夕刊

現在北京オリンピックの開会式を見ながらパソコンに向かっている。
先程からテレビ画面では延々と選手入場が続いている。過去最多の204の国と地域が参加しているそうだが、世界にはこれほどの国があったのかと驚かされる。白人の国かと思っていたらアジア人の顔つきをした選手が行進していたり、同じイスラム教国といっても、様々な衣装をまとって民族が三日月と星で構成されるイスラム教の国旗の後を歩いている。
入場行進を見ながら、いかに自分が偏狭な世界地理の知識しかなかったのかと思い知らされる。

本日の東京新聞夕刊に『はだしのゲン』の作者中沢啓治氏のインタビューが載っている。中沢氏は次のように答えている。

(『はだしのゲン』を描いた動機として)家族を全滅させた原爆に対する怒り、原爆を呼び込んだ戦争や戦犯に対する怒り。ぼくは天皇の責任を問わない限り、戦争責任は解決しないと思っています。それから戦争で核兵器の実験をした米政府への怒り。それまで無意識に抑えてきた怒りが噴き出た。

(中略)平和に暮らすためには憲法9条を絶対変えさせない。どれだけ犠牲を払って日本人が手にしたか。これを大事にしろよー、そこに尽きます。憲法改正という不穏な動きが出ている今、ぼくらみたいな漫画家やジャーナリズムが、絶えずこの問題に関心を持って取り組まなければ、いかに見せるか工夫も必要。伝えるってことは本当に難しい。

また、同じ東京新聞夕刊の文化欄に、「政治と切り結んだ現代知識人 ソルジェニーツィン氏を悼む」と題した文章が載っていた。ソルジェニーツィン氏は『収容所群島』などの作品で知られ、旧ソ連の独裁体制を世界中に知らしめた作家である。
その後、ソルジェニーツィン氏は国を追放され、米国に移住したので、西側の自由経済・民主主義に与していたのかと思っていた。しかし、彼は78年にハーバード大学の卒業式講演に招かれた際、辛辣に米国の法律万能、ルネサンス以降の理性偏重を批判している。旧ソ連が15カ国に瓦解した際、彼は民族自決、宗教の自由を重んじ、その分割をエリツィンに提案していたそうだ。
まだまだ続く北京オリンピックの入場行進を見ながら、彼の先見性の鋭さに驚かされる。

寄稿したのは早大名誉教授、ロシア文学専攻の川崎浹氏である。懐かしい名前である。私の大学時代のロシア語の先生である。半分くらいしか授業に出ず、試験もさっぱりだったのに、なぜか単位だけは取れた、ホトケの川崎先生であった。

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