『妊娠カレンダー』

第104回芥川賞を受賞した、小川洋子『妊娠カレンダー』(文藝春秋 1991)を読む。
表題作の他、後の『博士の愛した数式』によく似た時代から取り残された「先生」の生活と病に倒れるまでを描く『ドミトリー』、『夕暮れの給食室と雨のプール』の2作が収録されている。
『妊娠~』では、つわりに苦しむ姉の姿を目の当たりにし、主人公の妹は、妊娠なるものが新たな生命の誕生だけでなく、母の少女時代そのものを破壊していく再生の契機だと感じ取る。

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