宮城谷昌光『花の歳月』(講談社文庫 1996)を読む。
ここしばらく仕事上のストレスを抱えているため、少しでも日常を忘れんと、中国の悠久ロマンを手に取ってみた。
初期の宮城谷の作品で、1時間足らずで読み終わってしまった。前漢の時代に「文景の治」と称される文帝の妻、そして景帝の母として活躍した猗房の半生が詩のような表現で描かれる。猗房はその美貌で若くして皇帝の妾の地位にまで登り詰めるが、呂太后に迫害され辺境の地に追われてしまう。しかしそこで才覚を発揮しやがてまた皇帝の妻、そして母へと返り咲いていく。
短い作品ながら、当時の女性の生き方と運命の持つ力が印象に残る感動作である。
『花の歳月』
コメントを残す