『戦争と沖縄』

池宮城秀意『戦争と沖縄』(岩波ジュニア新書 1980)を読む。
沖縄の歴史について復習したいと思い、手に取ってみた。琉球が薩摩によって、明治政府によって、そして米軍によって、戦後、再び日本政府よって略奪される 沖縄の歴史が整理できた。沖縄の「琉球いも」が本土では「さつまいも」という名前で広まっていった史実から分かるように、江戸時代の頃から薩摩による支配 が大変強圧的であったことを初めて知った。
上原仁太郎氏の『忘れられぬ体験』(那覇市民の戦時・戦後体験記録委員会編)の一節があまりに残酷であった。

 母が死んでから、末の弟があまりのひもじさに泣きやまないので、母のおっぱいを見ると丸くふくらんでいるので、ちょっと 押してみると白い乳がでました。私は弟にその乳を飲ませました。すでに息をひきとった母の死体の乳でしたが、死語二日目ぐらいまで弟はその乳を吸っていま した。
(中略)弟は、母がなくなってから食べさせるものがないので、毎日ワアワア泣いていました。そのころ、日本兵が特攻にいく前だといって私たちの壕にきまし たが、弟があまり泣くものだから、自分があやしてやると、私から弟をひきとって連れていき、まもなく防空壕で変な声がしたので、いってみると、弟は殺され ていました。首にタオルをまきつけられ、顔は紫色の斑点があってむごたらしい姿をさらしていました。

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