『教育という熱』

内田良『教育という熱:子どもと先生を苦しめる「教育リスク」』(光文社新書,2015)を一気に読む。
7年ほど前に内田氏の講演会を聞いたことがあり、その話の元となっていた内容で、すんなりと読むことができた。頑張ることや我慢すること、一体感や感動といった日本の教育の根幹部分を評価しつつも、そうした部分に踊らされて、重篤な怪我や致命的な心のダメージを負う教育システムに楔を打つ内容となっている。日本の教育思想や授業といった部分にはあえて触れず、統計データに基づくリスクを明らかにしている。

死亡事故の多い部活動としてラグビーと柔道が突出していた。柔道の数ある技の中で頭部や頸部の怪我が多いものが足技の大外刈りだそうだ。背負い投げや内股などの腰技が多いと思っていたが、後頭部を真っ直ぐに畳に打ち付ける危険性が大きい技として、柔道連盟でも注意を払っているとのこと。