『情況』(情況出版,1994.6)をパラパラと読み返してみた。
「大学と教育の異議申し立て」という特集で、予備校講師の表三郎先生や酒井敏行先生、青木裕司先生など、参考書や実況中継でお世話になった先生のコメントが興味深かった。まだ世田谷区長になる前のジャーナリスト保坂展人も座談会に参加している。
多くの特集記事の中でも、学生座談会が興味深かった。「変貌する”学生”と大衆闘争の可能性:セクト・ノンセクトの対立図式を克服しよう」というテーマで、当時東京大学駒場寮の廃寮阻止運動や京都大学吉田寮自治会、同志社大学や中央大学で自治・反戦運動を行っていたノンセクト学生8名の座談会である。ノンセクトセクト主義やセクトほど一貫していない運動スタイルの是非について論じている。最後に同志社大学の辻泰世さんのコメントが印象に残った。それ以降の野宿者運動や反原発運動、反安保運動を予期したような言葉であった。「陣地としての大学」という言葉印象に残る。
運動というときに単線的なイメージではこれからは絶対駄目だと思う。もうちょっと現実的に何を創るかということを考えて、多様なものを包摂していくことをやらなければ駄目。世界のことを考えるのは、もちろん重要なことだけど、まずはどういう場としての運動を創っていくかということだと思う。大学はその拠点になる。歴史的にもそうだったと思う。機動的には個人でもいろいろやれるところはあるんだけど、陣地としての場としての大学は重要だ。そういう風に考えてやっていきたい。
