『川に親しむ』

松浦秀俊『川に親しむ』(岩波ジュニア新書,2000)をパラパラと読む。
著者は大学の専門家ではなく、大学で水産生物学を学び、高知県庁に勤務する役人である。海辺の小動物や魚の生態の項は飛ばしてしまったが、川の流れの部分は面白かった。護岸工事をしていない自然の川には「蛇行を繰り返している」点と「水の深さや流れの速さの異なる部分があり、それらが交互に現れている」という特徴がある。「瀬」は水深も浅く、流れも急で、河床の石も大きいため、水面が波立って見える。一方、「淵」はその反対に、水深も深く、流れもゆるく、河床の小石混じりの砂や泥からできており、水面も穏やかで、ゆったりとした感じのところです。

川の環境というと水質や水量ばかりに目が向きがちであるが、多様な川の流れが多様な生物の環境を作り出している点にも注目していく必要がある。