『「戦争漫画」傑作選』

手塚治虫『「戦争漫画」傑作選』(祥伝社新書 2007)を読む。
作者の手塚氏は戦争そのものに否定的で、戦争に打ち勝つには、決して武器をとることではなく、自分のやりたいことや目標を持ち続けることだと訴える。
漫画評論家の中野晴行氏は解説の中で次のように述べる。

正しい戦争など存在しない、というのは手塚が何度も繰り返したメッセージだ。
(中略)戦争の最大の犠牲者は何も知らない子どもたちである。少なくとも彼らが、親を失い、家を焼かれてもなお、戦争が正しいと思うことはないだろう。
(中略)手塚は、こんなバカげた戦争を引き起こす原因は多くの場合、人間の利己主義だ、と洞察していた。つまり、自分だけ、自分たちの民族だけ、自分たち の宗派だけは助かる、という根拠のない思い込みが戦争を正当化するのだ。人類が滅びても、神が自分たちだけを救う、とか、自分たちだけは死後の世界の幸福 になれる、という理由だけで聖戦を遂行されたのではたまったものでない。

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